歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

麻痺した感性、置き去りの自分

2013年12月18日 | 社会
今日は久々の雨だ。
日本にも本格的な寒波がやってきて、田舎の方ではもう雪が降っているらしい。

満員電車、ビル、せかせかと歩く人々、ケンタッキーやマクドナルドの広告、
コート、マフラー、クリスマスのイルミネーション、白いため息。
毎日がオルゴールのようにループする。

麻痺しかけた感性、固まった思考。
目の前の小さな出来事に振り回されて、自分というものを見失っていく。


そして「気づかぬうちに日本は変わってしまった。」



2013年12月6日深夜 特定秘密保護法 参議院本会議にて自民・公明の賛成多数で可決


信じられないような不条理がこの国に突きつけられている。
深い落胆と失望。
連日国会や参議院会館に向けられた抗議の声は届かなかった。
かろうじて形だけは維持されていた民主主義が、その強行採決によって足下から崩れ去った。

危険な多数決の原理。
国会議員というマイノリティの中で多数決をし、そこで決まっていく未来。
しかし彼らは人数こそ少ないが、マイノリティとは位置づけられない。
国会議員は国民の代弁者であり、彼らを決めたのはまぎれもなく国民だからだ。

デモで一人の女性が掲げた言葉が何かに取り上げられていた。
「最大の悲劇は 悪人の暴力ではなく 善人の沈黙である」
これはキング牧師の有名な言葉だ。
そしてこう続く。
「沈黙は暴力の陰に隠れた同罪者である。」

いまの政治をつくっているのは私たちなのだと気づかされる。
このままファシズム的強行政治が断行されつづければ、日本は本当に大変なことになる。

秘密保護法が制定され、次に待ち構えているのは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)。
TPPは守秘義務が徹底されており、国民どころが多くの議員でさえもその中身を知らない。
しかし、少しずつ交渉内容がリークされはじめた。
これは単なる「加盟国間の関税を撤廃し自由貿易を促進するための協定」ではない。
そしてTPP交渉と合わせて2国間(アメリカと日本)の貿易問題を話し合う並行協議。
日本という国が変わってしまう。

消費税が、軽自動車の税金が高くなるのはもう決まっている。
消費税に関しては2014年に8%、その翌年には10%と段階的に上がっていく。
食品や電気料金などの生活必需品に5%以上の税金をかけている国はない。

そしてこれから、
戦略特区で医療も教育も雇用も変えられていく。
国民健康保険がなくなり、病院は株式会社に。
終身雇用がなくなり簡単に解雇が出来るようになる。
郵便事業、郵貯、簡保も平行協議で解体へ。
低賃金の外国人がたくさんきて日本人の失業率が大変なことに。
日本の残留農薬(分解されにくく体内に残る可能性のある農薬)や添加物もアメリカ基準に。
遺伝子組み換えの非表示。
農業だけの話じゃない。
日本の中小企業なんてひとたまりもない。
国民主権どころか、ISD条項により国の主権が失われる。

これもほんの一部にすぎない。
とにかくいろんなことがアメリカ基準になっていく。
お隣韓国では2012年に発効された米韓自由貿易協定(FTA)でアメリカの要望を次々とのむことに。
韓国でも反対や抗議の声が凄かったのにも関わらず、与党の強行採決。
アメリカとの関係性が日本と類似している。

政治家や国の陰謀を取り扱ったサスペンス映画をよく見るけれど、現実にはそれ以上のことが公然と起きている。
政治が限定された利益のために行われれば、そうでないすべての人が不利益を被る。

もう「政治には興味がない」とか「私にはわからないから」とか悠長なことを言っている場合ではない。
皮肉なことだけど国が道を踏み外せば外すほど、政治があなた(一人ひとり)の問題になっていく。
後からいくら嘆いてもそれは後の祭りなのだ。

今何かに気づけたら、きっと間に合う。
国民はマジョリティだから。



目が覚めるといつもと変わらない景色。


「見えないところで日本は変わってしまった。」


ーーーー
山田正彦(2013)『TPP秘密交渉の正体』竹書房新書

是非この本読んでみてください。
メディアリテラシーが重要視されるこの時代、どの情報を信用したらいいかわかりません。
この方は2010年農林水産大臣のときからTPPには真っ向から反対されてきました。
超党派の「TPPを慎重に考える会」を立ち上げて広く国会議員などに呼びかけ、TPPだけは阻止しなければと日夜奮闘されています。
彼の言葉は実際に現地に赴き、いろんな立場の人から聞いた言葉、いろんな角度から観察した結果です。
2回ほど直接お話を聞く機会があり、その謙虚さと誠実さと信念の強さに敬服します。
コメント
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