歩くたんぽぽ

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eiga.『その街のこども』

2011年07月15日 | 映画
たんぽぽのわがまま映画批評No.14
『その街のこども』日本/2010
演出・監督:井上剛
脚本:渡辺あや
音楽:大友良英

キャスト:森山未來中(中田勇治)、佐藤江梨子(大村美夏)、津田寛治


この映画は2010年1月17日NHK総合で放映されたテレビドラマの劇場版である。
NHK大阪放送により、阪神・淡路大震災15年特集ドラマとして制作された。

地震のトラウマを未だに抱える成長した”その街のこども”の話である。

放送後、約1年が経ち東北・関東大震災が起こった。
今観るには少しためらう人もいるかもしれない。
しかし、今観れば納得できる部分も多いタイムリーな映画ともいえる。

ドキュメンタリータッチの映像と会話。
少し怖いくらいのリアリティ。
観ていて喉の辺りが熱くなる。

演出もいいのだろうとは思うけど、森山未来の演技力には目を見張る。
彼演じる中田勇治は、表面的には現代の若者を象徴するような青年でありながら、本心はなかなか明かさない。
要は何を考えているか分かりにくいタイプの青年である。
その微妙なラインを表現する森山未来の演技が光った。

そして感情をすぐ表に出す佐藤江梨子演じる大村美夏。
映画の大部分が、その二人のやり取りによって進んでいく。

地震に対する二人の答えが見つかったわけではない。
しかしほんの少しだけでも前に進めた、そんな映画である。

エンディング、阿部芙蓉美の柔らかくかすれた声がまたさりげなく2人の思いにかぶさっていく。


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