潮は引き、現れた中州まで長靴の深さで行けるようになった。いよいよマテガイ掘りのスタートだ。長靴の中に海水が入らないように慎重に歩を進める。中州に着くと、もう次の中洲が見える。ここは遠浅なので大潮の今日は遠くまで陸地となる。次々と現れる中州に惹かれて沖に出る。同じように鍬を片手の若者や、熟年夫婦連れが沖を目指している。昔ながらのもんぺ?を着た近在の人も居る。早くも場所を決めて掘り出した人も居る。見ていると鍬で砂地の表面をさらい、穴を探している。弟から教わったとおりだ。穴があると塩を穴に掛ける。ほんの数秒でマテガイが飛び出す。それを待ち構えて捕まえる。簡単な話だ。見る目には。ところが実際には大変。引き始めの中州で砂の表面をさらうのだが、深く掘ると海水が湧き出てマテガイの呼吸穴は見つかるのだが、塩を掛けられない。浅いと穴が見つけにくい。穴を広げて行くのだが海水が流れ込む。このさじ加減が結構難しい。とはいっても、塩が引くにつれて海水の湧出も少なくなり、マテガイの穴も見つけることが容易になった。マヨネーズチューブを絞って、塩を掛ける。2,3秒すると穴から水が湧き出し、すぐにマテガイの目か口だか分からないが触手のような器官が穴から飛び出す。勢いがあるものは貝本体まで飛び出す。これを指でつまんで無理やりに引っ張り出す。マテガイも必死で穴にしがみ付いているので無理に引っ張ると簡単に身がちぎれる。穴に逃げ込まない力で捕まえ、貝の力が弱まるのを待って、徐々につまみ出すのが極意、と会得した。最初の1匹?目は感激した。マテガイが飛び出した。教わったとおりだ! 夢中で砂地を掘り、穴があれば見さかいなしに塩を撒く。捕まえるタイミングを逸して逃がしたのも居たが、結構マテガイを収穫した。ところが素人の浅はかさだった。掘り疲れて周りを見ると、皆さん大きなマテガイばっかり。私のは大きいのから小さいのまでバラエティ豊か。むしろ小さいのが殆どで、大きいのが混ざっている感じ。穴のサイズを見分けなくてはならなかったのだ。掘る途中から、何となく分かっていたのだが、ついつい穴があれば見捨てられない小心な性格が、災いしたのだと思う。次からは大きな穴に絞りたい。腰も疲れたし、潮も満ちてきたので浜近くに場所を変える事に。味噌汁用にあさりを掘ることにした。ところが絹貝が少々とあさりは数個しか採れなかった。やはり最近は稚貝を放流しないと駄目なんだろうと思う。弟が浜で待っていると携帯が鳴る。たどり着くと6時。獲物を見るとさすがにベテラン。大きいのばかり網に半分くらい。私は網の3割くらい。やはりはじめての弟の会社友達が4割くらいか。聞くと、1箇所で掘り続けたそうだ。私みたいに浮気であちこち掘りまわるのは、結局時間の浪費に過ぎなかったみたい。他の人を見ても結構大きいのを数多く採っている。魚釣りと同じで、糸を垂れている時間が釣果と比例しているようだ。
この晩は愛妻が始めてというマテガイ料理を堪能。定番のバター焼きとワイン蒸し、マテガイのぬた。特にぬたがおいしかった。わけぎとマテガイが味噌になじんで味わい深かった。焼酎がおいしかった。
この晩は愛妻が始めてというマテガイ料理を堪能。定番のバター焼きとワイン蒸し、マテガイのぬた。特にぬたがおいしかった。わけぎとマテガイが味噌になじんで味わい深かった。焼酎がおいしかった。