どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

ミッドウェイ、鑑賞

2020年09月13日 20時00分00秒 | 映画
同名の作品については1976(昭和51)年版を想起してしまう...当時中学生だった私はセンサラウンド方式という、今で言うところの爆音上映が印象深い作品です。

でも低予算な感じで、戦闘シーンは「トラ・トラ・トラ」の使い回しが多いし、日本側の描写も山本五十六役の三船敏郎さん以外は日系人俳優ばかりで、今イチな作品でしたね(^_^;

客入りは6〜7割、客層は私と同年代かそれ以上、50〜60代が中心かな...恐らく作品に対する興味や想いは同じ人達だと思います。

今回メインテーマとして44年ぶりに映画化。監督がドイツ系のローランド・エメリッヒさんですし、日米双方を対等な形で描くということで、どんなかな...と。

まず日本側の描写ですが、山本役の豊川悦司さん・南雲役の國村隼さん・山口役の浅野忠信さんらシッカリした演技ができる俳優をメインに据えていた効果で大きな違和感はありませんでした(その他は日系俳優かな...口調や表情が微妙に変な感じはした...今までのに比べれば頑張ってくれてるけどね(^_^;)。

山本と南雲のギクシャクした関係や、山口の最期もキッチリと描いていたのはこれまでのハリウッドになかったものだなと感心もしました。

米軍側も艦隊司令長官・ニミッツ、情報将校・レイトン、爆撃機の先鋒・ベストを軸にして、真珠湾攻撃の痛手から何を学び、軍がどう変わっていったのかをわかりやすく見せてくれて、なるほどな...と思うこともしばしば。

日本本土を初空爆したドゥーリトル隊も印象深かった...一矢報わんとする決死の...まるで特攻隊なんですが、その気持ちの持っていき方の日米の違いみたいなものも感じました。出撃直前にドゥーリトルが隊員に志願の意思を今一度問うワケですが、日本型の忖度や同調圧力とは違うものがあった...全ての空気感がまるで違ったんだよなと。

実際のミッドウェイ戦の記録映画を監督したジョン・フォードが楽しかった。ちょっと人物が軽すぎないか?と感じましたけど(^_^;、戦場のカタルシスに興奮してハシャギ回る姿がなんとも...カメラを手にすれば死の恐怖も忘れてしまう映像屋の宿業みたいなものを象徴していてナカナカでした。

反面...観てるこっちが意識しすぎなのかもですが、監督がドイツ系ってことで衣装や背景描写がスタイリッシュすぎて日本海軍というよりもナチスドイツ軍なテイストに...あんなデザインのコートあったっけみたいな(^_^;

あとねぇ...冒頭の真珠湾攻撃とミッドウェイ海戦の描写...ほとんどがCGなんですよね。

現在のジェット戦闘機と違いレシプロ機特有のフワフワ感はよく表現してて、細かいところまでキッチリ描写しているなと思うものの、これでもかと画面を埋め尽くす爆煙・炎・破壊される艦船や飛行機がですね、まるで重みがないんですよ。予告編にもあるけど空母から爆圧で吹き飛ばされる零戦とかケレン出し過ぎで、リアリティ指向の作品性が台無しじゃないかと。

部分的に実機を撮影したシーンもあり、そこだけやっぱり絵の重さが違う...今更「トラ・トラ・トラ」みたいな本物の戦場を限りなく実機で再現までしなくていいし、ハリウッドでさえ現実的じゃないでしょうけど、もうちょっと実写の割合を増やしてほしいなと思いましたね。

映像まそんな感じで今イチなところもあったけど、情報を重んじて冷静的確な判断をする米軍や、能力に応じて役割や階級もどうにでもしちゃう柔軟性...年功序列と官僚的なシガラミだらけでガッチガチに硬化していた日本軍...組織としての硬軟が事態を変えていく(そして今もって引き摺っている我が国の組織)...端的にでしたが、そんなことも考えさせられた作品ではありました。

総じて「パールハーバー」みたいな酷さは無いし、ドラマもシッカリしていたけど、同じような印象のCG多用の戦闘シーンは個人的に頂けませんでしたね。

一緒に鑑賞していた客もモヤモヤした感じで席を立ってました(^_^;




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