東名のあおり運転は、石橋被告に懲役18年という判決が出された。
しかしこれで一件落着ではもちろんなく、控訴されれば高裁で逆転もあり得る。
「危険運転致死罪」の適用は専門家でも意見の分かれるところだし。
それはともかく、この事件は石橋和歩という男の非道さばかりに焦点が当てられているが、実は取り沙汰されていない問題がほかにもある。
命を落とした犠牲者に厳しいことは言いたくないし、日本人はそういうことができない(死者に鞭打つ)国民性だろうからほとんど触れられていないが、石橋被告に対する父親のひと言はいかがなものかと思う。
確かに石橋被告が駐車すべきでないところに車を止め邪魔であったことは確かだろうが、何も「邪魔だ、ボケ!」とまでは言う必要はなかった。
普通「ボケ!」と知らないヤツから言われたら、誰でもカチンと来る。
石橋被告も「カチンと来た。人間やから・・・」と言っていた。
相田みつおでもあるまいに「人間やから」は余計だが、「カチンと来た」までは大方が共感するのでは?
そこで追いかけてあそこまでするかといえば、そんなことはほとんどがしない。
それこそ「人間だもの」。
そこが石橋被告の異常性で、その結果として生まれた「死」に対し、罰を受けるのは当然のこと。
ボクもあおり運転はしたことはないが、高速であまりに遅い車に後ろからパッシングはしたことがある。
だったら高速に乗らなきゃいいのにと思うノロノロ車は、やっぱりいるんだよね。
昨日、スーパーに入るため左折しようと思ったら、対抗してきた車がいきなり右折して行った。
これは危ないし腹も立つ。
睨み付けたが、それ以上はもちろんしない。
そのスーパーの駐車場で、買い物を終え出ようとしたら出口から入ってきた車があった。
こういうルール違反は日常茶飯事で、ボクはいつも腹が立つ。
これくらいのルールは守れよと思うのである。
ことほどさように、世の中に不届きものは五万といる。
でも、それに一々腹を立てたり、正義感を振りかざして下手な注意をしてしまうと「第二の石橋和歩」に出くわさないとも限らない。
話を東名の事故に戻すが、追突したトラックが不起訴になったのはボクには解せない。
確かに追い越し車線に車が停車していることは想定外だが、そのトラックの前の車はちゃんと避けているのである。
ぶつかったトラックが十分車間距離をとって走っていれば避けられたはずなのだ。
もしトラックが避けていれば二人は死ななかったかもしれない。
なのに不起訴とは・・・。
あおり運転という社会問題化した行為に焦点を当て、ことさら「悪」を強調し、厳罰にすることで警鐘としようという検察の意図が透けて見える。
石橋被告に同情する気はないが、それはそれで何か恐ろしい。