見た直後よりジワジワと
点数が上がっていってます(笑)
「砂漠でサーモン・フィッシング」72点★★★★
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イギリスの水産学者ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)のもとに
ある“とんでも依頼”が舞い込む。
イエメンの大富豪が
「砂漠に鮭を泳がせて釣りがしたい!」と希望し、
博士に協力を求めていると言うのだ。
水もないのに、一体どうやるんじゃ!
博士は大富豪の代理人ハリエット(エミリー・ブラント)に
「まったく実現不可能です」と断りを入れる。
が、これが思わぬことから
国家を巻き込んだ巨大プロジェクトになり――?!
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最初は退屈かなと思ったけど、
ラッセ・ハルストレム監督らしい“キチンと感”や優雅さと
「スラムドッグ・ミリオネア」脚本家サイモン・ビューフォイの躍動感が
うまく混じり合ってゆき、
鑑賞後感がとてもいい良作でした。
「砂漠で釣りをしたい!」という発想自体、
荒唐無稽なんだけど、
それに加えて
エミリー・ブラントの恋人が戦地で行方不明になったり
砂漠の大富豪が命を狙われたり
「どうやったらこんなに波瀾万丈にできるんだ――?!」というダイナミズムは
脚本家の持ち味で(笑)
いっぽう、男女の関係など
道に反れすぎずに、どこか折り目正しく
生真面目に描く感じとか
ハルストレム監督のキャラでしょうね。
ユアン・マクレガーが
ホワイトボードに描いて見せる絵とか、
酔狂に思えるこのプランが
実はある大事な目的を持っていた・・・とか
ちっさなところで、さりげなく
感じのよさが光ります。
当初は頑なに「不可能だ」を繰り返す
博士のキャラが分かりにくかったんですが
大富豪に「前向きにやらなければ、何も成功しない」と言われたところで
ああ、それを言うためのキャラだったのね~と
納得しました。
あとイギリス首相の広報官役に
「ずっとあなたを愛してる」(08年)「サラの鍵」(10年)の
クリスティン・スコット・トーマスが扮してるんですが
その硬質なキャラを生かしつつ
でも、いままでのイメージをグッと裏切るように
ユーモア担当として使うなんて
なかなかやるなあと膝を打ちました(笑)
★12/8(土)から全国で公開。
「砂漠でサーモン・フィッシング」公式サイト