ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ニッポンの、みせものやさん

2012-12-02 18:39:15 | な行

この映画がなければ
絶対知り得なかった世界。

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「ニッポンの、みせものやさん」69点★★★☆


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お祭りのときなどに
「恐怖!ヘビ女」とか「ろくろ首」とかを見せる
「見世物小屋」。

江戸時代には全国で300軒、
昭和30年代(1955年くらい)にも30~40軒はあったそうですが
いまではたったの一軒になってしまった。

その最後の一座「大寅興行社」を写したドキュメンタリーです。


見世物小屋って、知ってはいたけど
見たことはなかった。

なんか「まがまがしい」っていうんですか?

でもだから興味があるってのが人の心理。
この映画がなければ、知らずに終わってたかもしれず、
見てよかった、と思いました。


78年生まれの監督は
01年に花園神社の縁日で一座に出会い、
05年から撮影をしている。

ほぼ家族経営で7人ほどの一座は
最初は「テレビや映画なんて」とカメラを毛嫌いしてた。

しかし
物腰やわらかく、素直さを感じさせる監督は
10年かけてゆっくりと
その内部に入っていくことを許されたようです。

見世物そのものの撮影に成功したことも貴重だし、

昔は障害のある人がそれを売り物に稼いでいたとか、
いわば「秘されていた」歴史の一部を記録したことの
意義は大きいと思います。


卑しいと見られることも承知のうえで、
稼業と歴史を絶やさない矜持を見せつける姉さんの気っぷのよさも
かっけー。

祭りの露店の世界の仕組みも
ちょろっと知ることもできる。

夜中にテレビで見るノンフィクションもの、という感触もありますが
もしかしたらこの手の話は
テレビじゃできないのかもね。

余計貴重じゃないすか。


★12/8(土)から新宿K's cinemaで公開。ほか全国順次公開予定。

「ニッポンの、みせものやさん」公式サイト
コメント (2)
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