ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

サンタクロースをつかまえて

2012-12-06 23:44:41 | さ行

笑って、泣いて
映像酔いもした。

けっこう忙しい80分(笑)

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「サンタクロースをつかまえて」59点★★★


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仙台出身の29歳、岩淵弘樹監督が
2011年12月、震災後のクリスマスを撮ったドキュメンタリー。

市内の大通りを飾るイルミネーションや、
そこをいく鼓笛隊のパレード。

教会でのクリスマスのミサの様子や
地元の友人のクリスマス風景などをつなぎ

さらに
震災後の3月20日に
実家に帰ったときの映像をはさんでいます。


正直にいうと
定まらない映画ではあるんですね。

カメラをまわしては何かを探しているような。

でもきっと何を探しているのかを
撮ってる本人もわかっていないんじゃないか。


そんなあぶなっかしさを感じてしまい
“完成されている”とは言いにくいんです。

なんだけど、見てしまう。

震災後、
「ああ、無事でよかった~」とか言いながら
実家に帰った監督を迎える
お母さんの冷めた反応に笑い

結婚して子どものいる友人に
「俺みたいに独身で、子ナシで、貯金もなくてってうらやましい?」
とか聞く様子に笑い、
(――んなこと、誰が思うか!と思わず突っ込むわな(笑)

そのあと友人が子どもたちの枕元に
プレゼントを置くシーンがあって
そんな些細なシーンに、なぜか涙が湧いてくるんですわ。

不思議っすね。


本作では語られないですが
岩淵監督は23歳で仙台から上京し、
派遣社員としての日々を映した「遭難フリーター」(07年)を発表。
残念ながらこれは未見なのですが(すごい見たい)

しかしその後ドキュメンタリー作家としての
問題意識や創作意欲に行き詰まり
介護士として働いていたそうです。

3.11をきっかけに、
カメラをまわしはじめたそうな。

もしかして「探しもの」中なのは
キャラなんでしょうかね。

自分の居場所を探し、仕事を探し
しあわせを探してるのかな。みんなと同じく。

次回作も見て観たい。

そうそう、
資料にある監督の
プロダクション・ノートがすごいおもしろかった。
高城晶平さんの文もよかったです。

★12/8(土)から渋谷ユーロスペースで公開。

「サンタクロースをつかまえて」公式サイト
コメント
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