シャルロット・ゲンズブール、
最近ますますイイなあ。
「パパの木」72点★★★★




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舞台は自然豊かなオーストラリア。


庭に大きなイチジクの木がある家に住む


8歳のシモーン(モルガナ・デイヴィス)は

ある日、大好きなパパを亡くしてしまう。

パパを最高に愛していたママ(シャルロット・ゲンズブール)は
悲しみのあまり、何も手に着かず放心状態。

そんななか
シモーンはイチジクの木にパパがいると思い、
木に話しかけるようになる――。


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「やさしい嘘」のジェリー・ベルトゥチェリ監督の2作目。

オーストラリアの大自然を舞台に、
突然父を失った家族の、喪失と再生を
優しいタッチで描いています。

「木とお話する

しかしメルヘンではない“実質”があるのが

前作同様、この監督の持ち味であり魅力です。


男に依存しがちで頼りなげな母親役のシャルロット・ゲンズブール、
そして子役たち(少女だけでなく、次男の子がいい!)
みんなハマっていて、ドラマに説得力がある。


各人がそれぞれのやりかたで、
喪失を乗り越え、少しずつ前進するさまが
とても自然に描かれてるんです。
涙っぽいところもないしね。

物理的に「男手がないと生きていけない」という
オーストラリアの大自然の意味も大きく、
ラストの収束もうまい。


これは夫の支えを失って
いきなり世界に放り出された“弱きもの”たちの、
ささやかで切実なサバイバルストーリーでもあるわけで。

そして驚くことに
1968年生まれの監督自身が
最近、ダンナさんの死を経験しているそう。

一時は脚本を書くのも辛すぎてやめてしまったそうですが
それをして、このカラリとした観賞後感に
感服しました。

★6/1(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
「パパの木」公式サイト