津波の話なので、つらいんですが
水のなかで「何が起こってるのか」を
知った意味は大きかったです。
「インポッシブル」70点★★★★
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2004年、タイのプーケット。
夫(ユアン・マクレガー)と妻(ナオミ・ワッツ)は
3人の息子とクリスマス・バカンスにやってきた。
南国ムード満点のリゾートで
幸せなときを過ごす一家。
が、滞在3日目のそのとき、
プールサイドにいた彼らは
不気味な震動と、音に気づく。
そして、次の瞬間
巨大な津波が一瞬で彼らをのみ込んだ――!!
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04年、プーケットを襲ったスマトラ島沖地震による巨大津波。
その体験者の実話を基にした作品です。
監督はコワ悲しい秀作ホラー「永遠の子どもたち」(07年)で
子を思う母の情感を描き出したJ・A・バヨナ。
本作もパニックだけでなく
災害時における家族の思いが描かれています。
しかしまあ、とにかく
津波の描写が凄まじいんですよ。
あの水のなかで、何が起こっているかを
リサーチをもとに、めちゃくちゃ詳細に描いている。
沈むだけでなく、様々なものが凄い勢いで
水中に巻き込まれ
洗濯槽のなかのように
切りもみ状態になり
あらゆる物が凶器のように襲いかかってくる。
その様子が豪音とともに描かれ、
流される水の力の強さを体感できるので
映画館にいながら、こちらまで身の危険を感じるほど恐ろしい。
実際に大量の水を使って撮影したそうで
演じるナオミ・ワッツも相当な恐怖だったろうなと思います。
題材が題材だけに
観ることがつらすぎる人も少なくないと察しますが、
これを生半可ではなく、
描ききった意味はあるとワシは思う。
九死に一生で、水の攻撃を生き延びても
ケガをしていると
出血多量や敗血症で死に至ってしまうこともある。
見ながら
災害時に、本当に何が助けになるのか、
何が必要なのかを、改めて考えさせられました。
そして
自らも傷を負ったななかで「人を助ける」ことの高潔さを、
母役のナオミ・ワッツが、息子に教える場面が尊いですね。
構成もなかなか巧みでした。
余談ですが
最近の痛ましい竜巻のニュースを見ながら
「あのなかで、何が起きているのか」を
この映画のように詳細に描いてほしい、と思った。
怖さの体感は、身を守る術のヒントになりそうだから。
★6/14(金)から全国で公開。
「インポッシブル」公式サイト