1本の映画、というより
メモリアルな雰囲気が大でした。
「はじまりのみち」56点★★★
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戦争中。
松竹に入社し、念願の監督としてスタートを切った
若き木下惠介(加瀬亮)だが
戦意高揚の国策映画作りに従えず、
会社に辞表を出す。
家族が暮らす
静岡県浜松市に戻った惠介だが、
忍び寄る戦火に追われ、
山間に疎開を余儀なくされてしまう。
惠介は
病床の母(田中裕子)をリヤカーに寝かせて
兄(ユースケ・サンタマリア)と
便利屋(濱田岳)とともに
疎開先まで山越えをすることにするが――。
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木下惠介生誕100年記念映画として
「クレヨンしんちゃん」など多くのアニメーションを手がけた
原恵一監督がてがけた作品。
木下監督の実話をもとにドラマを作り、
たしかにドラマ部分は
なかなかいい実話を拾ってきているなと思う。
ひょろっとした加瀬亮は
写真で見る木下監督の雰囲気や
繊細そうな感じによく似ているし
疎開先までの道中、病気の母をリヤカーで運ぶ絵は
どこかシュールで
かつ母親と息子間の不滅の愛情を
ガッツリ感じさせておもしろい。
便利屋役の濱田岳氏とのやりとりで
辞めようとした監督業への思いを
短いなかで表現する場面とか、うまいなと思いました。
ただ全体としてみると
監督の作品ダイジェストがかなり多く入っていたり
映画というよりも、メモリアル要素が高い。
ワシとしては
もっと力いっぱい
「映画!」にしてもよかったなと思う。
もっとドラマ部分を
しっかり観たかった気がするんですよ。
まあ
こうしてダイジェストを並べると
木下映画の特徴などを改めて考えたりもするし
「観てみようかな」と思わせるあたりは
成功なのでしょうね。
★6/1から全国で公開。
「はじまりのみち」公式サイト