この事件、ニュースで知ったときは衝撃だったよなあ……。

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「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」69点★★★☆




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2013年1月。
ボリショイ・バレエ団の元スター・ダンサーで
芸術監督を務めるセルゲイ・フィーリン氏が
何者かに顔に硫酸をかけられる、という事件が発生。

その事件の顛末をイギリス人監督×BBC製作で
ボリショイ内部に潜入して撮影したドキュメンタリーです。
この事件が世界中のメディアを騒がせたことは
記憶に新しいし、

ワシもさすがにこの事件を聞いたとき
「バレエに美青年に顔に硫酸……!


衝撃を受けました。

なので、かなーり期待大のドキュメンタリー。

で、実際ほぼ期待どおりに、いやそれ以上に
このセンセーショナルな事件を
事件当時のニュース映像、団員たちや、関係者のインタビューを交えて
かなりサスペンスフルに

ある意味、過剰なまでに盛り上げていく作品でした。

事件がきっちりまとめられていて
わかりやすいのもいい。
でも、ワシがまず驚いたのは
劇中で紹介されるボリショイ・バレエの舞台。

けっこう様々なバレエドキュメンタリーを見てきたんですが、
ボリショイの映像を映画で見るのは初めてで
なんとまあ
華美な衣装




すごくお金がかかっていて
あけすけに言うと
サーカスのように、きらびやか。



さらに
団員たちが平気で不平や不満を口にしたり
けっこう赤裸々に事件を語る様子にもびっくり。(どこまで素だか、わかんないけどね)

時に
あと
トップクラスのバレエダンサーである女性たちに娘がいたり


息子のいるシングルマザーだったりするのにもびっくり。

ファースト・ソリストの
団地住まいっぽい庶民さにもびっくり。

そうして、ボリショイの内外事情を知りながら
次第に興味は主題のショッキングな事件から、
もっと大きな意味での“ロシアの闇”に向いていく

団員が「頑張っても評価されない、報われない」と言うのが
けっこう衝撃だったし
奇跡的に復活するフィーリン氏だって
復帰後の舞台で
「仕事の成功は嬉しいが、感謝もされない」的なことを言うんですよ。

これだけ芸術を庇護しているようにみえて
そのフロントにいる人々がけっこう不満タラタラ


ロシアの現実が写っているのが、この映画のミソではないでしょうか。
ロシアの闇は深そうです。

★9/19(土)からBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。
「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」公式サイト