この吸血鬼の描き方は
単純に、カッコいい。


「ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~」72点★★★★




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ドラッグが蔓延し、娼婦が闊歩する
闇の町“バッド・シティ”。

そこに暮らす
青年アラシュ(アラシュ・マランディ)は
猫を愛し、善悪の区別のつく青年。

だが、彼の父親はドラッグに溺れ、
アラシュは借金返済のため、闇に足を踏み入れてしまう。

そんなとき、彼は
黒いチャドルをまとった
美しい少女(シェイラ・ヴァンド)と出会うのだが――?!

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イラン人の両親のもと
イギリスで生まれたアナ・リリ・アミリブール監督による
ネオ・ヴァンパイアホラー。

これが実にセンスよく、
残酷すぎず、クールで美しいんですわ。


アメリカでは
「デヴィット・リンチやジャームッシュの初期を思わせる」と評判で
ロッテン・トマトでも95%が「フレッシュ!」の高評価。



なるほど納得っす。

冒頭から、普通にパンしていく風景の後ろの川に
「なに?死体の山?」とか

サラッと流してくんだけど「え?」的な仕掛けがあって
終始鳴り響く、地響きのような、耳鳴りのような、
不快で不穏な音響も、ムードを盛り上げる。

主人公の青年が猫を可愛がってる設定で
「猫と吸血鬼は天敵だから、絶対、猫がヤバイかも……」

これが
猫もぜーんぜん平気なヴァンパイアだったり(笑)。

チャドルの下の彼女は
ボーダーTのショートカットだったり
常識をかるく飛び越えてくるんですよ。

オチにはもうひとひねり欲しい感じだけど、
十分ハラハラしたし、かなり満足でした。
怖がりさんにもイケまっせ。


★9/19(土)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~」公式サイト