あ、これ好きそうだな、と思って観た人は
間違いなく好きになると思う。


「バードピープル」71点★★★★




******************************
パリ、シャルル・ド・ゴール空港近くのホテルに


やってきたアメリカ人のゲイリー(ジョシュ・チャールズ)。

成功したビジネスマンである彼は
今日はパリで会議に出席し

明朝にはドバイに飛び立たなければならない。

が、そんな日々は明らかに彼を摩耗していた。

そして翌朝、彼はある決断をする――。

いっぽうホテルでメイドとして働く
オドレー(アナイス・ドゥムースティエ)は

大学も休学し、アパートと職場を無為に往復する日々。

ホテルの窓辺から、空港を飛び立つ
飛行機を眺めていた。



すると、彼女にあることが起きて――?

******************************
「レディ・チャタレー」から8年ぶりとなる
パスカル・フェラン監督の新作。

ささやかだけれど、ふっと心に入ってきて
好きだなあと思える映画でした。

監督は本作を着想したとき
村上春樹の小説を思い浮かべたそう。
なるほど~。なんか伝わる。


舞台となるのは空港やホテル、移動するバスという
人々が交錯する空間。
目的を持って、先を急ぐ人々のなかで
ふと、異邦人のような、所在なげな気分になる瞬間って
ないですか。

それとか
空港までのモノレールに揺られて、遠くを見ているときに
ふと感じる、吹っ切れ感や、開放感のようなもの。


そんな空気を
とてもうまく写し出していると感じました。

そして、そんな場所で、所在なげな男女の物語が
スーッと始まっていく。
最初のエピソードがアメリカ人の男の話で

続いてホテルメイドの女の子の話になり

特に女の子のほうは
「え?こうくるの?」

女の子を演じているのは
フランソワ・オゾン監督の
「彼は秘密の女ともだち」のアナイス・ドゥムースティエ。
うん、この映画の彼女は
すごくかわいい。

小動物っぽさが、ピッタリハマってました。


映画を観たあと、ボーッと流れていく
抜けた景色が見たくなって

ゆりかもめに乗っちゃいましたよ(笑)。
モノレールで空港に行ってもよかったな。


余談。
そういえば「レディ・チャタレー」で監督に会ったかもしれん。
記事を書いた記憶があるなー。対談だっけ?

★9/26(土)からユーロスペース、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「バードピープル」公式サイト