ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ハリウッドがひれ伏した銀行マン

2016-07-15 23:06:52 | は行

この人がいなければ
「ターミネーター」も「眺めのいい部屋」も生まれていなかった!


*****************************


「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」70点★★★★


*****************************


1980年代、
「パラマウント」や「20世紀フォックス」などの
メジャースタジオでなく
貧乏な独立系スタジオに融資を始め、

現在も受け継がれている映画作りの仕組みを作った
オランダ人銀行家フランズ・アフマン氏のドキュメンタリー。


もともと映画好きだった氏は
「プリセールス」という
作品の配給権を完成前に販売し、その対価を事前に受け取り、
それを制作費に当てることで、
お金のない小さなスタジオでも、映画が作れる!という
システムを開発したんです。

これによって
「ターミネーター」(84年)や
「ランボー/怒りの脱出」「眺めのいい部屋」(85年)
「薔薇の名前」「プラトーン」(86年)など
名作が生まれることになったんですね。

まさに“ハリウッドがひれ伏す”存在になったわけですが、
氏はそれでもずっと
品行方正な“いちビジネスマン”であり続けた。


そんな“すごい人”の人生を
彼が50歳のときに生まれた娘が
記録した映画なんです。


映画は父へのインタビューで始まるんですが、
センチメンタルさはなく、
対象へのと距離がしっかりある。

尊敬できる“成功したビジネスマン”の顔を客観的に写し取っていて
とてもいい。

どうしたって
砂田麻美監督「エンディング・ノート」を思わせますしねえ。


ハリウッドの裏側って
金や欲望、ドラッグなどに彩られることが多いけど、
その渦中にいて、ずっと自分のスタンスを持ち続け、
誰もに「品がある人物だ」と言われるのって
限りなく、カッコイイなあと。

映画関係者に限らず、
働く人たち誰もに「こうありたい」と思わせる
お手本かもしれません。


★7/16(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。

「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」公式サイト
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする