98歳の夫と89歳の妻の
たしかな、愛ある暮らし。



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「あなた、その川を渡らないで」67点★★★☆



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韓国の小さな村に暮らす
老夫婦の15ヶ月間を追ったドキュメンタリー。


ウソのように仲のいい夫婦の愛の形は
ほとんどファンタジーのようです。


おじいちゃんは、なにかとおばあちゃんにちょっかいを出し、
ときには集めた落ち葉を投げ合い、
雪を投げ合い、じゃれあう。


常にお揃いの服を着て、
どこに行くにも一緒。


そんな日々の暮らしぶりが
本当にほほえましい。

二人はまるで動物のつがいのようで
その愛が純粋なことは、よく伝わります。


お正月や誕生日に大勢の子どもや孫たちに囲まれる様子も



いいなと、思う。

でもね、当然ながら
だんだん、おじいさんは弱っていくんです。

そして、ついにそのときがきて
映画もそこでおしまい、という点が
ワシには引っかかってしまった。

このあと、どうなるんだ?

それこそが、ドキュメンタリーなのではないか?

そもそも監督は、
なぜこの二人を選んだのか。

プレス資料のインタビューによると
このおじいちゃんとおばあちゃんは
もともと韓国国営放送(KBS)の
ドキュメンタリー番組で紹介された夫婦で


1970年生まれの監督は
もっと彼らを知りたいと、1年以上の密着をしたそうです。
監督が彼らに惹かれた気持ちはわかる。


でも、やっぱり
映画としての「ストーリー」はあらかじめ予測してたのでは?と
思ってしまうワシは純粋でないのかもしれない。

「ふたりの桃源郷」のような
「これを撮る意味」は
ちょっと伝わりにくいかなあと感じてしまいました。

それにしても
最近、こうした“老境をゆく”ドキュメンタリーが
本当に増えていますねえ。

★7/30(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
「あなた、その川を渡らないで」公式サイト