「サラの鍵」(2011年)原作者のベストセラーの映画化。
この作家、やっぱ、すげえ・・・?
「ミモザの島に消えた母」80点★★★★
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40歳のアントワーヌ(ローラン・ラフィット)は
妹(メラニー・ロラン)と
「ミモザの島」と呼ばれる避暑地に向かっている。
彼らの母は30年前に、
若くしてこの島で溺死していた。
当時、子どもだったアントワーヌは
30年を経て「なぜ、母は死んだのか?」と改めて疑問を持つ。
しかし
父も周囲の人々も、なぜか母の死について口を閉ざす。
一体、どうして――?
アントワーヌは、その謎を調べるために
独自に動き出すが――。
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同じ原作者タチアナ・ド・アオネによる「サラの鍵」も
現代を生きる女性が、アウシュビッツの過去を探ることを発端に、
家族の秘密に触れる・・・という
ミステリー度の高い、重層な作品だった。
そして本作もかなり重層。
離婚や失職という主人公を取り巻く家族の問題と、
過去にまつわる推理やミステリー要素がうまく絡んで
おもしろい。
3本分の映画を見たような感じなんです。
うまいんだなあ、この原作者。
主人公の四十路男アントワーヌは
「なぜ、若くして母は死んだのか?」を知りたくて
家族の秘密を執拗に追い、
そこに囚われてしまっている。
半ば狂信的で、
家族関係にも、仕事にも影響が出て、周囲に迷惑もかける。
そんな様子を見ながら、ワシ含む観客みんな
「もうやめときなさいよ」と何度も言いたくなると思うんです。
だって、家族の過去を探っても
大抵、ロクなことはないんだもん。
でも、もしかして、
過去と向き合うことから、何かを得ることなど出来るのか・・・?というのが
この映画のキモですね。
実際、秘密の推測は割と早く着くんですが、
いやいや、まだその先もあるのです(ニヤリ)。
舞台となるミモザの島は
実在するフランスのノアールムーティエ島。
「満潮時に沈む海中道路」も実在するそうで
この危うさも
ミステリー度を盛り上げて、実に魅力的なんですねえ。
★7/23(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
「ミモザの島に消えた母」公式サイト