冒頭、聴こえてくる旋律にハッとする。
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「あまねき旋律(しらべ)」70点★★★★
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これは映画でなければならなかった。
インド東北部、ミャンマー国境付近のナガランド州。
そこに住むナガ族は、農作業や生活の合間に
不思議な高低差ある旋律の歌を歌う。
その歌と、彼らの暮らしを
インド南部出身の夫婦監督が、追ったドキュメンタリーです。
同じインドに生きていても
監督たちにとって、ここは「異世界」だったんでしょうね。
そしてこの先、残っていくかどうかわからない
部族の歌声を、映像と音声に焼き付けた意味は大きいです。
そこに村の老人たちの語りや、若者の語りを織り込み、
現状をよく理解させてくれる。
さらにラスト近くに、
この地の悲しい歴史と、リアルな現状が映されるんですねえ。
1950年代、この地域はインド政府から独立しようとして、政府と銃撃戦になり、
いまだインド軍に監視されている――という状況にあるんだそうです。
その土地に根付いていた人々を踏みにじる蛮行を
“人間”であるなら、許してはならない。
まだまだ知らないことが山ほどある歴史修得をしつつ、
驚き、怒りを感じ
、込み上げてくるものがありました。
★10/6(土)からポレポレ東中野ほか全国順次公開。