やっぱこの冒頭、衝撃的だよね。
「テルマ」70点★★★★
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ノルウェー、オスロの大学に通うため
一人暮らしをはじめたテルマ(エイリー・ハーボー)。
引っ込み思案でなかなか友達はできないが
両親のもとを離れての大学生活をドキドキ満喫していた。
そんなある日、テルマに異変が起こる。
図書館で勉強をしていたとき
窓の外に真っ黒な鳥の群が飛び立ち、突然、発作に襲われたのだ。
助けてくれたのは、同級生のアンニャ(アヤ・ウィルキンス)だった。
大人びたアンニャと友達になったテルマは
彼女のアパートに遊びに行くようになるのだが――?
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ラース・フォン・トリアー監督の甥っ子で
「母の残像」(16年)ヨアキム・トリアー監督の作品。
はい、たしかに、ラース・フォン・トリアーの遺伝子、ありますね。
まず冒頭、
凍てつく北欧の森に、狩りにきた幼い娘と父のシーン、
「一体、なに?!」とめちゃくちゃ惹きつけられるオープニング。
無垢な少女に、異常に過干渉な両親、発作、ワケありっぽい過去、
そして少女の「目覚め」――と、ドキドキ素材が満載。
得体のしれない「力」の存在を、
音と空気の不穏な振動で感じさせる演出、
蛇、カラス・・・・・・などの暗示の不気味さがうまく
ヒロインも音楽もひんやり冷たく、
美しい北欧ホラーです。
欲をいえば、「芯」がちょっと弱いというか
結局は「抑圧からの解放」というところにオチるのかなあと思うと
あと一押し、ほしかった気もするけど
意外とラストの解釈もさまざまで、あとに残る。
異次元に閉じ込められる、的な感覚をプールの底で表現したシーンとか
新しい映像表現にも驚かされました。
いやあ、あのシーン、ホントに残るわあ・・・・・・。
★10/20(土)からYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。