189分!
でも、寝なかったぞ!(笑)
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「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」73点★★★★
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巨匠フレデリック・ワイズマン監督が
ニューヨークのクイーンズ区北西に位置する
“ジャソンハイツ”の街を映したドキュメンタリ-。
189分!の長尺とあって、やはり身構えるんですが、
うん、これはちょっとした旅行に行く気分で臨むのがいいと思う。
ジャクソンハイツをフラリと訪ねて
一週間ほど滞在した気分になれるんです。
ジャクソンハイツは世界中からの移民が暮らし、
167もの言語が飛び交う「多様性」の街。
ワイズマン監督はおなじみ「観察映画」の手法で
街のモスク、教会からレストラン、集会所、コインランドリーと
さまざまな場所を「観察」していく。
その静かな視線のなかに、
異なる宗教を持つ人々、不法滞在者、セクシャル・マイノリティなどなど
そこに暮らす人々の横顔が、立ち現れてくる。
やっぱり「人間」を見つめるのって、
おもしろくて飽きないんですよねえ。
そして同じ道、同じ角、同じ店を見ているうちに
我々も、この街に滞在したような気分になれるのが楽しい。
旅先の土地のスーパーが次第に馴染みになる楽しさ。
日がな一日、ぶらりと街を歩き、店を冷やかし、
普通なら入るのに躊躇しそうなタトゥー屋や夜のクラブにも潜入できちゃう。
でも、この個性的な街でも
昔ながらの個人商店が徐々に消え
大企業(例えばGAPのような)に取って代わられる“再開発”が進められている。
それは「現代アメリカ」の姿を映すと同時に
東京都内のさまざまな沿線駅に
ルミネができ、スタバがあり、便利でキレイだけど
なんか、どこも画一的――というような状況と
まあそっくりだよなあと思うわけです。
街を見ることが、いまを考えることにつながる。
そんな映画体験でした。
★10/20(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。