樹木希林氏は、もはや日本の美のひとつだ。
「日日是好日」71点★★★★
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典子(黒木華)は
打ち込める「何か」がなかなか見つからない大学生。
ある日、
同い年の従姉妹・美智子(多部未華子)に誘われて
近所の武田先生(樹木希林)のもとに、お茶を習いに行くことに。
多くのきまりや作法に戸惑い、
失敗ばかりの典子だったが、
少しずつ、お茶の世界にハマっていく――。
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大森立嗣監督。
ここまで振り切れた「お点前」映画だとは!と驚いた。
その潔さに、カーン!と鹿威しも鳴るってもんです。
ヒロイン(黒木華)が師匠(樹木希林)にお茶を習う。
春、初夏、梅雨、秋、雪の冬、
美しい庭のあるお茶室に通い、お点前をする。
四季の移ろいのなか、
掛け軸が変わり、茶器が変わり、お茶菓子が変わり、
師匠の着物が変化する。
そんな日々をひとつひとつ重ねていくことの、
豊かで、たおやかなことよ。
その流れゆく時間のなかで
ヒロインは就職、仕事、恋など、さまざまな岐路に立ち
そのときに
お茶が、師匠が、さりげなく道しるべとなったりする。という映画です。
小学生時代、近所の老婦人のもとに通い、
お茶を習った日々を思い出したなあ。
あれは裏千家だったけどね。
お茶の師匠を演じる樹木希林さんは、なんと茶道は未経験だったそう。
いやあ、もうこの道ン十年の師匠のような佇まい、さすがだし
その所作も、楽しそうに着物を着ている様も
日本の美をスクリーンに留め置くことの
喜びにあふれている感じがする。
この映画を試写で観たときは
まさか、希林さんがもういないとは思ってもいなかった。
樹木ロスが癒えない日々だけど
こうして「映画」が遺ることって
やっぱり素敵だなあと思いました。合掌。
★10/13(土)から全国で公開。