負け続けボクサーの一念発起――?!的なものをイメージしたけど
これが意外と意外な運びでおもしろい。
「負け犬の美学」70点★★★★
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40代も半ばのスティーブ(マチュー・カソヴィッツ)は
負けっぱなしのボクサー。
普段はレストランでアルバイトをしながら、
ボクシングの試合をこなし、
妻と娘でなんとか暮らしている。
そんなある日、スティーブは
チャンピオンのタレク(ソレイマユ・ムバイエ。注・本物のボクサー!)が
試合のためのスパークリングパートナーを募集していると聞く。
だが、スパークングは試合よりも
容赦ないパンチを浴びる、過酷な仕事。
死の危険もなくはない。
やめてと懇願する妻を振り切り、
娘の将来の費用のため
スティーブはスパークリングに志願するのだが――?!
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フランス発、負け続けなボクサー(マチュー・カソヴィッツ)の物語。
でも、「そんな主人公がチャンプを目指す」――とかではなく、
これが意外と意外な運びなのが、フランス流なんでしょうか、おもしろかったです。
負け続けの45歳ボクサー、スティーブは
レストランで働きながら妻子を養うダブルワーカーにして良きパパ。
ボクサーとしてはとっくに旬をすぎた“おっさん”であることは百も承知ながら、
それでも「これでしか生きられない」彼は
現・チャンピオンのスパーリング相手(練習相手)をする、という高給のチャンスに食らいつく。
チャンピオンは当然、彼を年寄り扱いし、斬り捨てようとするんだけど、
そこでスティーブはチャンプに
経験値からの戦法&作戦を提示し、信頼を得ていくんです。
そう、
「勝者」だけで世界は成り立っちゃいない。
スティーブの「負け道」のような考え方は、
この現実世界でも
真っ直ぐ過ぎて壁にぶつかっている人に、何かヒントをくれてる気がする。
人生を猪突猛進するだけが、戦法じゃない。
行き詰まりを感じてる人を、ハッとさせるかもしれない映画では?と思います。
お試しください~
★10/12(金)から新宿シネマカリテほか全国で公開。