ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

負け犬の美学

2018-10-12 23:55:08 | ま行

 

負け続けボクサーの一念発起――?!的なものをイメージしたけど

これが意外と意外な運びでおもしろい。

 

「負け犬の美学」70点★★★★

 

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40代も半ばのスティーブ(マチュー・カソヴィッツ)は

負けっぱなしのボクサー。

 

普段はレストランでアルバイトをしながら、

ボクシングの試合をこなし、

妻と娘でなんとか暮らしている。

 

そんなある日、スティーブは

チャンピオンのタレク(ソレイマユ・ムバイエ。注・本物のボクサー!)が

試合のためのスパークリングパートナーを募集していると聞く。

 

だが、スパークングは試合よりも

容赦ないパンチを浴びる、過酷な仕事。

死の危険もなくはない。

 

やめてと懇願する妻を振り切り、

娘の将来の費用のため

スティーブはスパークリングに志願するのだが――?!

 

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フランス発、負け続けなボクサー(マチュー・カソヴィッツ)の物語。

 

でも、「そんな主人公がチャンプを目指す」――とかではなく、

これが意外と意外な運びなのが、フランス流なんでしょうか、おもしろかったです。

 

負け続けの45歳ボクサー、スティーブは

レストランで働きながら妻子を養うダブルワーカーにして良きパパ。

 

ボクサーとしてはとっくに旬をすぎた“おっさん”であることは百も承知ながら、

それでも「これでしか生きられない」彼は

現・チャンピオンのスパーリング相手(練習相手)をする、という高給のチャンスに食らいつく。

 

チャンピオンは当然、彼を年寄り扱いし、斬り捨てようとするんだけど、

そこでスティーブはチャンプに

経験値からの戦法&作戦を提示し、信頼を得ていくんです。

 

そう、

「勝者」だけで世界は成り立っちゃいない。

スティーブの「負け道」のような考え方は、

この現実世界でも

真っ直ぐ過ぎて壁にぶつかっている人に、何かヒントをくれてる気がする。

 

人生を猪突猛進するだけが、戦法じゃない。

行き詰まりを感じてる人を、ハッとさせるかもしれない映画では?と思います。

お試しください~

 

★10/12(金)から新宿シネマカリテほか全国で公開。

「負け犬の美学」公式サイト

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