ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

アントマン

2015-09-13 20:55:18 | あ行

やっぱりこのビジュアルは
「ミクロイドS」に似てたよ(笑)


「アントマン」55点★★★


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能力はあるのに空回りしがちで
仕事を失ってしまったスコット(ポール・ラッド)。

別れた元妻と再婚相手と暮らす
幼い娘だけが生きがいだが、

元妻から
「仕事を見つけて養育費を払わなければ、娘に会わせられない」と
言われてしまう。

困ったスコットは、友人の誘いにのって
ある屋敷に忍び込み、金庫の中のものを盗む。

それは一見、古ぼけた
ライダースーツのようだったが――?!


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「アベンジャーズ」の
マーベル・スタジオから誕生した
史上最小のヒーローのアクションエンタテインメント。


40年前に人間を小さくする
画期的なスーツを開発した天才博士(マイケル・ダグラス)が

どうも人生うまくいかないスコット(ポール・ラッド)を見込んで、
スーツを着させて
アリサイズの“アントマン”として活躍させるというストーリー。

スーツをきた主人公が
「シュッ」と小さくなるところは
なかなか気持ちいい。

で、ドアの鍵穴を通り抜けたり、
排水溝に入り込んだり、
虫たちと協力したり

いままでにない戦い方はおもしろく
戦闘シーンも、どこかほのぼのな感じ。

虫が苦手な人にも、そんなに嫌悪感はない
ビジュアルだと思う。


ただね~
ワシはあまりノレなかった。


原因は、どうもコメディ色の
微妙な混在具合にある気もする。

主演のポール・ラッドはコメディ畑の人という印象が強いし
監督もその要素を
取り入れようとしたのでしょうかね。

マイケル・ペーニャをはじめとする
サエない仲間たちとのやりとりとか、
かなりベタでおマヌケな感じだったり

そもそも
主人公がコソ泥なのか?とかも微妙だし
結果、地球を救う話ではあるんだけど
実際に起こる出来事のスケールは小さいというか。

主人公がヒーローになる動機が
「別れた幼い娘にいいところ見せたい」だけだしなぁ……(苦笑)
まあ、あるっちゃある話だけど。

ファミリー向けという位置づけなのかな。

あと
「アベンジャーズ」のあの人も出てくるので
参加するんでしょうね、アントマン。


★9/19(土)から全国で公開。

「アントマン」公式サイト
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ピエロがお前を嘲笑う

2015-09-10 23:35:29 | は行

こういうドイツ映画もあるんだーという。


「ピエロがお前を嘲笑う」70点★★★★


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警察に出頭してきた
気弱そうな青年ベンヤミン(トム・シリング)。

彼は実は天才ハッカーであり、
世間を騒がせ、殺人事件への関与も疑われている
ハッカー集団の主要メンバーだった。

彼はいったい、何をしたのか?

捜査官(トリーヌ・ディルホム)に
ベンヤミンが語り始める物語とは――?


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ハッカー集団を描いた
スリリングなドイツ映画。

ピエロとか出てくると印象がホラーっぽいけど、
そういうことはなく
コンピューター犯罪を描く、いまどきサスペンス。

しかし
小道具や演出が微妙に古くさかったりする
ちょっと異質な感じが、逆に興味をそそります。


ベンヤミン青年たちハッカー集団のやる“犯罪”は
本来はさほど重罪ではなく
(警察のコピー機を操作して紙を出し尽くす、みたいなね)
行為自体に社会へのメッセージもある感じ。

でも
それをネットで拡散し
たくさんの「いいね!」承認されて
ダークヒーローみたいになっていくと

だんだんシビアな方向になっていき……?という展開。


ハッキングとかバーチャル世界のネタは
本来わかりにくいんだけど

この映画では
結局、相手をだましたり、ハッキングしたりするテクは

=機械操作のテクではなく
現実におけるその人間の
コミュニケーション能力と対人スキルにある、と描いていて、
その持っていきかたも愉快だった。


ただこの映画は
鑑賞前のネタバレ厳禁。

「え?そういうこと?!」という
ヤラレタ感を味わってほしいです。


ところで。
重要な役どころの女性捜査官、
見たことあるよなあ、誰だっけなあと思ってたら
トリーヌ・ディルホム。

スサンネ・ビア監督の
「未来を生きる君たちへ」とか
「愛さえあれば」
あの人だった!


★9/12(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開。

「ピエロがお前を嘲笑う」公式サイト
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黒衣の刺客

2015-09-09 23:50:10 | か行

ワシにはちょっとよさがわかんなかったなー。


「黒衣の刺客」57点★★★


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中国の8世紀後半、唐王朝の時代。

幼いころ親元を離れ、女道士に預けられた
陰娘(=イン・ニャン)(スー・チー)は
凄腕の暗殺者になっていた。

彼女の使命は
朝廷に刃向かう勢力の重鎮である
李安(チャン・チェン)を暗殺すること。

だが、彼女と李安は
かつて許嫁同士だった――。


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ホウ・シャオシェン監督×リー・ピンビン撮影。

第68回カンヌ国際映画祭<監督賞>を受賞した
静かなる“任侠映画”。


冒頭がとてもよかった。

まずモノクロームの数カットからなるシーンが
すごく魅力的で
ちょっと黒澤映画みたいなイメージ。
このままいってもよかったのに……とか(笑)

そのモノクロ世界が、
血のように赤い夕日と川のショットで、パッとカラーに変わる。
その美しさにも、ぐわんとする。

でもですね、そこからが、うーん。

セリフもほとんどなく
普段ならば、それは別にいいんですが

時代設定が8世紀、唐の時代なので
サクサクッといく説明について行けず、
敵味方の背景もうーん、わからない・・・(苦笑)

ドラマも戦いも
あえて音を立てないような静けさ、平板さにしてあって
戦っても、お互い倒れずに去る――みたいな様式が多いんです。

それはそれで面白いのだけど
話の筋に入れないと
どうも、入り込めなかった。

妻夫木聡氏と、忽那汐里氏が出演しているんですが
うーん、もっともっと、出してもよかったんじゃない?(笑)


★9/12(土)から全国で公開。

「黒衣の刺客」公式サイト
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キングスマン

2015-09-08 21:39:20 | か行

後半からの盛り返しがすごい!


「キングスマン」70点★★★★


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1997年、中東。

ある諜報機関のメンバーであるハリー(コリン・ファース)は
作戦の最中に仲間を失ってしまう。

ハリーは、仲間の忘れ形見である幼い息子に
「困ったことがあったら、この番号に電話するように」と
メモを渡す。

それから17年後。

幼かった息子エグジー(タロン・エガートン)は22歳になり
半グレな生活を送っていた。

窃盗で逮捕された彼は
昔、ハリーから渡された番号に電話をかける。

電話がかかった先はロンドンにある
高級テイラー「キングスマン」だった――。


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「キック・アス」マシュー・ヴォーン監督の新作。

しかし
後半までは58点と思ってた(笑)

コメディというのにもビミョーだし、エグいし
エグジー青年もかなり本気でダサい(苦笑)。


しかし後半から、めちゃくちゃおもしろくなるんですわ。

エグジー青年が本当にシュッとした“紳士”になってくるし

映画の定石をひとつひとつひっくり返していくような
挑戦があるんですね。


敵の見せ場のほうがガチカッコいい、とか(苦笑)
主人公のピンチに助けがこないとか
どんなにギリギリでも
結局、最後に世界は救われる……え?救われないの?!みたいなね(笑)


そんな監督の意欲がわかってくると、
がぜんおもしろくなってくる。


生まれた環境、階級にクサるべからず、という
メッセージも受け取れる。

そしてアクション初挑戦という
コリン・ファース、
スラリとスマートなスーツ姿の立ち回りが
意外なほど!カッコよかったっす。


★9/11(金)から全国で公開。

「キングスマン」公式サイト
コメント (2)
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ピクセル

2015-09-07 22:11:05 | は行

このビジュアル、期待のまんまです(笑)


「ピクセル」69点★★★★


*******************************

1982年。

少年サムと親友のウィルは
アーケード・ゲームにハマる。

特にサムはマシンのパターンを読む攻略法で頭角を現し
パックマンやドンキーコングで次々とハイスコアを記録。
世界大会にまで進むゲーマになった。

だが、33年後。

中年オヤジのサム(アダム・サンドラー)は
冴えない配線係として働く日々。

そんなサムは
なんと大統領になった親友ウィル(ケヴィン・ジェームズ)に呼び出される。

サムが見せられたのは米軍基地を襲う
謎の、いや、見覚えのある飛行物体の姿だった――?!


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パックマンが立体になって街を襲う?!
聞いただけで見たくなるし

それに
クリス・コロンバス監督。


で、実際どうだったかというと
まずビジュアルイメージはけっこう好き。

ワシにはピクセル、というより
ドット、というほうが馴染みあるけど

あのカクカク、ギザギザした
ドット絵をまんま3D化し、そこに意味を持たせたところに
あの時代への愛を感じました。


で、お話はというと
これもまずまず考えられている。

「パックマンがなんで地球を襲うの?」という奇想天外さに
どう理由つけるのかなーと思ったら
「かつて人類が、宇宙に飛ばしたカプセルに
80年代のビデオゲーム映像が……」とか(笑)

ああ、あるかも(笑)って。


ストーリーはシンプルなんですが
ワシはよくわからないギャラガとかQバードとかも登場し、
80年代アーケードゲームにハマった人には
特に垂涎ではと思います。

つくづく思うのは
昔のゲームは、血も流れないし
夢に出てくるようなゾンビも襲ってこないし
平和だったなあと。

この映画も、正直くだらないちゃあくだらないんですけど(すんません)
平和で、懐かしい。

ゲームだけでなく、ほかの80年代ネタも
ちょこちょこ笑わせてくれます(笑)


★9/15(土)から全国で公開。

「ピクセル」公式サイト
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