1979年3月6日大阪フェスティバルホール。この日は忘れない。そうリンダ・ロンシュタットの来日コンサートの日です。けだるい感じが色っぽくスタイルも良かった。ビートルズ派とストーンズ派に分かれるように、リンダ派とオリビア派に男たちが分かれた70年代でした。
彼女がスゴイのは、自ら曲を書かず、ほぼ全曲カバー・ソングを歌ったこと。しかもカーラ・ボノフやJ.D.サウザーなど、当時あまり売れてなかったミュージシャンの曲を取り上げたことです。つまりリンダが彼らを世に出したのです。イーグルスもリンダのバックバンドでした。彼女の最大の功績は彼らを世に出したことかも知れません。
コンサートのセットリストを当時は書き留めたりしていませんでしたので、記憶に頼ると「Lose Again」をオープニングに「That'll Be The Day」「Blue Bayou」と続き、これだけで満足したのを覚えています。「Desperado」や「It's So Easy」はコンサートの中盤。「Someone To Lay Down Beside Me」等、カーラ・ボノフの書いた曲が素晴らしく良かった。最後が「Back In The U.S.A.」だったと記憶しています。チケットは3,000円。レコードより高い値段でしたが、今から考えると安かったですね。
この時のパンフレットは、今も持っています。
彼女のライブは、1981.09.13 甲子園球場での「California Live」にも行きました。
単なるアイドルではなく、1974年「悪いあなた(Heart Like A Wheel)」、1977年「夢はひとつだけ(Simple Dreams)」、1978年「Living In The U.S.A.」の全米No.1アルバムを持ち、当時の洋楽誌でオリビア・ニュートン・ジョン、スティーヴィー・ニックスと三大美女と扱われていたのも懐かしい。
彼女は恋多き女性と呼ばれ、J・D・サウザー、ミック・ジャガーとの恋も有名。そして極めつけは、当時カリフォルニア州知事で、大統領候補になったジェリー・ブラウンとの恋でした。歴史が変わっていたら、リンダはファースト・レディーでした。「素敵な恋をしたいな」という言葉を、リンダはよく言っていたそうです。
そんなリンダを若い人に聴いて欲しい。90年代にはジャズに転向、そしてメキシコ音楽へと傾倒して行きましたが、彼女は80年代初めの「ゲット・クローサー」までがキャリアの頂点だと思います。今回はデジタルリマスターで格段に音が良くなった、彼女のこのベスト盤をお薦めします。これにアルバム「ゲット・クローサー」からの“Get Closer”と“I Knew You When”を加えたら僕は満足です。勿論、ネルソン・リドルとのジャズ3部作も大好きです。