青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

悪夢のガンガー!世界観が変わる!

2021-10-30 | 地球を歩く

日本人が考える、最もインドらしい場所・風景と言えば、それは「バナーラス」です。インドの人にとって、バナーラスで焼かれ、遺灰をガンジス河に流してもらうことは夢・・そう現地で何度も聞きました。

ただ、ここも汚く(日本人の感覚では)、道の真ん中には野良牛が寝そべり、至る所に牛の糞が落ちています。子供の頃、道端で犬の糞を踏むことが時々ありましたが、そのことを思い出すほどでした。街の安いホテルに泊まると、シラミに襲われます。(本当!)

ガンガー(ガンジス河)の日の出見物は、バナーラスの最大の観光ポイントで、早朝から大勢の観光客がボートをチャーターして河に繰り出しますが、僕はその光景に「三国志~赤壁の戦い」を想像してしまいました。

おびただしい数の人々が、日の出と共に沐浴をします。水を浴びるのは人間だけではなく、牛も含まれます。ところが・・

河沿いには火葬場もあります。因みにインドでは、火葬場には親族であっても女性は立ち会えません。バナーラスで焼かれ、遺灰をガンジス河に流してもらうことは夢と言われるだけあって、インド中から遺体が運ばれて来て、そこでは1日中火葬の煙が絶えません。その遺体ですが、焼く前に河に人の手で運ばれてきて、ガンガーの水に浸します。

更に、そこで荼毘に付されるのは限られた人です。ヒンドゥー教徒でなければ駄目。ヒンドゥー教から離れた人も駄目。子供は人生経験が無いという理由から駄目。妊婦も駄目。毒蛇に噛まれて死んだ人は駄目と、いろんな人の火葬が許されていません。

火葬が認められないヒンドゥー教徒ですが、ヒンドゥー教は墓を持ちませんので、そういう人々はサリー等に包んでガンガーに沈めます。この街で異常に安いサリーが売っていたら、それは死体をくるんでいたものだと言います。

ガンガーの臭い、人を焼く時の独特の臭いが、写真では分かりませんが漂います。

生きている人、牛、遺灰、布に包まれた遺体が同時にガンガーの水を使い、それを旅行客が観る。何とも言えない世界観にバナーラスでは包まれます。勿論、この河では洗い物もしますし、排泄物も流されます。

海外の景色、例えそこが世界遺産の地であろうが、どれだけ美しい風景であろうと、写真で見ただけでは何も分かりません。聞こえて来る音、漂う臭い、五感を使って感じた何かはそこに行った人にだけ、大切な何かを教えてくれます。



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