2008年上半期第139回直木賞受賞作。
「小説新潮」2005年11月~6年10月連載、204頁。
島に戻って幼馴染と結婚した養護教諭(主人公)の日常を通して、平凡な人生のあれこれを丁寧に描いた作品。
生徒数18人、教師5人だけという島の学校に、ある日、若いイケメンの男性教員が赴任して来ることで、主人公をはじめとする周囲の大人たちの間に微妙なズレが生じていく様が何とも面白い。
選者評:五木寛之氏
「主人公の「私」をはじめ登場人物の心と体の揺れうごくきわどさが、人間存在のきわどさを反映していると同時に、文章のもつ官能の力を巧みに使いこなしているところに、この作家の成熟度を感じた。その完成度の高さにかすかな不安もある。しかし、自然描写にさえセクシーな気配が漂うのは、貴重な才能というべきだろう。」