「福嶋先生の性的マイノリティをサポートする教育実践」の講演を聞いて
2014年の2月2日に、奈良県の田原本町立小学校の教諭である福嶋先生の「性的マイノリティをサポートする教育実践」のお話を聞いた。
福嶋先生は、若い頃から、被差別問題、教職に就かれてからは障害児・者問題と、マイノリティの問題に、真摯に取り組んでこられた教諭である。性的マイノリティの問題に出会われたのは、今から7年位前のことで、受講した研修の中で、学校に通う性的マイノリティの多くの児童・生徒が「悩みに潰されそうになり、自殺を考えた」とアンケートに答えているのを知り、大変衝撃を受けられたそうだ。その直後、後輩の男性教諭からゲイであることをカミングアウトされ、やはり彼も若い頃自殺を考えたと語った。福嶋先生は、自分の無知と、教育現場で性的マイノリティをサポートする必要を痛感されたそうだ。
福嶋先生は、すぐに、教職員組合の活動を共にしている教諭仲間と勉強会を精力的に開き、性や性的マイノリティを正しく知ろうとし、教育現場でどのように当事者や当事者ではない児童・生徒をサポートしていけばよいか、話合いを重ねられたそうだ。2010年には、解りやすい「教職員のためのセクシャル・マイノリティサポートブック」を発行され、教職員に配布された。
福嶋先生が小学2年生のクラスで性的マイノリティのサポートを実践されている授業( NHKのハートネットTVで放映)の録画も見せていただいた。録画の中で、福嶋先生は、「タンタンタンゴはパパ2人」という絵本を教材にして、子供たちに絵本を読み聞かせ、その感想を聞いておられた。その絵本は、アメリカの大都市にある動物園で、いつも一緒にいる2羽のオスのペンギンが、飼育員から放棄されていた卵を与えられ、交代で卵を温め孵化させ、協力して赤ちゃんペンギンにエサを与え、親子になった3羽が仲良く暮らしているという実話を絵本にしたものである。絵本の感想の中には、「僕もパパが2人いたらいいな。」というものもあり、ほほえましかった。同じ町立の中学校でもサポート授業が行われたが、中学生の感想も肯定的な内容が多かったそうだ。
小学校低学年から、教育の中で、性的マイノリティのことを伝え、当事者には「あなたらしく生きていいんだよ。」というメッセージを発信し続けることがいかに大切かを痛感した。福嶋先生のような取り組みはまだ全国では少なく、宝塚大学の日高先生の調査では、調査対象の約80%の教諭は授業などに性的マイノリティに関する内容を取り入れたことがないと回答しているとのこと。理由は、自分自身が理解できていない、必要を感じない、教科書に書いていない等。
そうした状況の中で、福嶋先生を突き動かしたものは、若い頃からのマイノリティに関する想像力・教諭としての熱意と誠意・組合活動の仲間との連帯感であると思う。福嶋先生のような教諭がひとりでも多く増えていってほしいと願ってやまない。そうすれば、この社会はもっと生きやすくなるだろう。
(H,N)
2014年の2月2日に、奈良県の田原本町立小学校の教諭である福嶋先生の「性的マイノリティをサポートする教育実践」のお話を聞いた。
福嶋先生は、若い頃から、被差別問題、教職に就かれてからは障害児・者問題と、マイノリティの問題に、真摯に取り組んでこられた教諭である。性的マイノリティの問題に出会われたのは、今から7年位前のことで、受講した研修の中で、学校に通う性的マイノリティの多くの児童・生徒が「悩みに潰されそうになり、自殺を考えた」とアンケートに答えているのを知り、大変衝撃を受けられたそうだ。その直後、後輩の男性教諭からゲイであることをカミングアウトされ、やはり彼も若い頃自殺を考えたと語った。福嶋先生は、自分の無知と、教育現場で性的マイノリティをサポートする必要を痛感されたそうだ。
福嶋先生は、すぐに、教職員組合の活動を共にしている教諭仲間と勉強会を精力的に開き、性や性的マイノリティを正しく知ろうとし、教育現場でどのように当事者や当事者ではない児童・生徒をサポートしていけばよいか、話合いを重ねられたそうだ。2010年には、解りやすい「教職員のためのセクシャル・マイノリティサポートブック」を発行され、教職員に配布された。
福嶋先生が小学2年生のクラスで性的マイノリティのサポートを実践されている授業( NHKのハートネットTVで放映)の録画も見せていただいた。録画の中で、福嶋先生は、「タンタンタンゴはパパ2人」という絵本を教材にして、子供たちに絵本を読み聞かせ、その感想を聞いておられた。その絵本は、アメリカの大都市にある動物園で、いつも一緒にいる2羽のオスのペンギンが、飼育員から放棄されていた卵を与えられ、交代で卵を温め孵化させ、協力して赤ちゃんペンギンにエサを与え、親子になった3羽が仲良く暮らしているという実話を絵本にしたものである。絵本の感想の中には、「僕もパパが2人いたらいいな。」というものもあり、ほほえましかった。同じ町立の中学校でもサポート授業が行われたが、中学生の感想も肯定的な内容が多かったそうだ。
小学校低学年から、教育の中で、性的マイノリティのことを伝え、当事者には「あなたらしく生きていいんだよ。」というメッセージを発信し続けることがいかに大切かを痛感した。福嶋先生のような取り組みはまだ全国では少なく、宝塚大学の日高先生の調査では、調査対象の約80%の教諭は授業などに性的マイノリティに関する内容を取り入れたことがないと回答しているとのこと。理由は、自分自身が理解できていない、必要を感じない、教科書に書いていない等。
そうした状況の中で、福嶋先生を突き動かしたものは、若い頃からのマイノリティに関する想像力・教諭としての熱意と誠意・組合活動の仲間との連帯感であると思う。福嶋先生のような教諭がひとりでも多く増えていってほしいと願ってやまない。そうすれば、この社会はもっと生きやすくなるだろう。
(H,N)