天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

『うちの師匠はしっぽがない』5巻

2021-03-07 21:57:00 | 
待望の新刊を発売後すぐに買ってきました。


簡単な説明。大正時代の上方落語界をファンタジックに描く作品です。主人公は人間に化けた狸。

5巻は、え!この話?!という意外な噺がでてきます。
女性が噺家として普通に大看板な世界、なので現実とはそもそも設定が違いますよ、という物語世界の組み立てが巧妙!
まずそれがあるからあれやらこれやらを現実に照らし合わせて「こんなのありえない!」と言わせない。この土台はすごく新しい。
それなのに、落語そのものの使い方は実際のものをトレースしているので、その部分が物語に厚みを持たせていると思う。反対に落語を知らなくてこの漫画ではじめて落語というものに触れた人の興味と引く描き方にもなっていてなんていうか作者は…天才。

今回は読んでいて電車の中で泣いてしまった…。

去年、中止になったしっぽな落語会!今年はぜひぜひやってほしい!そして、「有馬小便」を!!
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朝井まかて「類」

2021-02-08 19:57:25 | 
昨年には購入していたのですが、分厚かったので後回しにしてしてしまいましたが、読みはじめると長さは感じませんでした。

森鴎外、その家族の話を末子・類を中心にして描いた作品です。
ですので、日本の近代という価値観の大きく変わる時代が背景にあります。森類というひとは秀でた才能を持つ兄弟姉妹の中にあって、迷いの多い人生だったと思います。いや、迷いというのは正しくないのもかも。その時その時にはこれだというものに取り組んでいるから。ただ、評価されることがない。
いまの価値観で考えると「どうやってこの先生きていくのか?一発逆転があるのか?」と思ってしまうのですがそういう予想の先を軽々と越え、いや、本人にとっては軽々とではないのですが。

ところで、途中の家族のことを書いて絶縁されるくだりで、この本は大丈夫なのか?!と思ったのですがご遺族は快諾されたそう。さすが文学の家系。類さんもそうなると思って書かれたんでしょうけど、当事者はいくら文学者でも許されないことだったのでしょう。物語の多いご一家です。
 
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蓮見恭子『たこ焼きの岸本』

2020-09-01 21:49:00 | 
関西人なら一家に一台たこ焼き…が、あるわけでもなく。一度電気式のを買ったけどあんまり使い勝手もよくなく、道具も不衛生になるし捨ててしまいました。
家でするのは友達のうちで。大人数でするのは楽しいし、おいしい。大量に作るもんやと思う。

で、買ったやつはおいしい。
外はカリッと中はしっとり熱々で。
時間がすこしたつと外もしっとりしてて。

さて、本作はそんなたこ焼き屋を舞台にした話で、場所は住吉大社のあたり。場所の描写が詳細で実在しそうな下町は人間関係も濃くて。でも、現実世界と時間軸が近い本作で扱われる問題も現代的。



問題はほんとの意味での解決はされないけど、そんなトゲも含みつつ力技が炸裂(文字通り)。
テンポがよいのでNHKあたりでドラマ化しような感じです。

2020年大阪ほんま本大賞

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清水潔『殺人犯はそこにいる』

2020-07-01 23:20:00 | 
清水潔『殺人犯はそこにいる』読了。実際の未解決事件をおい、現実を動かしたその記録というノンフィクション。冤罪に至る過程、覆らない現実。桶川ストーカーのときもぞっとしたけど、権力側が被害者に寄り添わずメンツを重視し事実を曲げるその恐ろしさよ。






この事件、パチンコに子どもを連れていくことにより起こる。もちろん、親は生きてる限り自分を責め続けている。また、桶川でも本書でも警察は故意に事実をねじ曲げたとものを報道陣に流し、被害者を、犯人ではないひとを世間はバッシングするが、その危うさを追体験する。

報道されることは100%ではない。ウソも混じってるかもしれないし、背景が全て語られてるわけではない。
しかしまた、見てる方も分かりやすさを求めてしまってる。悪循環だ。
しかし、だからといって石を投げていいわけではないのだ。無責任に。

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石井妙子『女帝 小池百合子』

2020-06-12 22:21:00 | 
出馬宣言キタコレ!
総理になる、という二択じゃない限り、やめないんじゃないか。

権力が欲しいのか
注目され続けたいのか

ともかくもこの本は膨大な資料、そして、人に会い時間をかけて書き上げられた「小池百合子」なるひとを浮かび上がらせている。
読み進めるごとに寒々しくなる。
そこにあるのは理念ではなく、自分がのし上がるためには手段を選ばぬ、しかし、天才の人たらしたる姿。
彼女の嘘を止められなかった周りやマスコミがさらにその嘘を増長させているし、マスコミの在り方はいまのままではいけないと思う。大阪も危うい。

ところで、カイロ大学の件。
この本の中でも大学は卒業してる、としていることは書かれている。
だからこそ、彼女の秘密を知る元同居人の女性の恐怖は計り知れない。

Amazonのコメントにも、頑張ってる人の足を引っ張るのか!という書き込みが複数あるが、今一度その足跡と結果を見直す必要があるのではないか。
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晴れても雨でも

2020-06-11 23:51:00 | 



梅雨入り。
一日中ふりっぱなしじゃないからよかったけど。しばらくは天気が悪いらしい。
晴耕雨読、ではないけど家にいる時間が増えるので本を読み漫画を読んでいる。




これは本編終了後にでた続編。
古い単行本は劣化してたので捨ててしまい手元にない、が、これを久しぶりに読むとよくできてる。
本編を買い直すか?デジタルで買おうか?と迷ってたら、デジタルでの無料配信が期間限定で明日から。
もう、ラッキーすぎて!
晴れても雨でも花咲ける青少年。

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鈴木智彦『ヤクザときどきピアノ』

2020-05-20 22:18:11 | 
『ヤクザとサカナ』著者・鈴木智彦さんの新刊『ヤクザときどきピアノ』がめちゃくちゃおもしろい。
ヤクザものの潜入ルポを得意とする著者52才が締め切り明けの開放感から映画を見て、「ダンシング・クイーン」をピアノで弾きたい!と奮闘する一年のエッセイ。
なにかあるとシノギやハジキとヤクザ用語が飛び出すピアノ入門記。なんやねん、それ!
実はツイッターをフォローすること数年。強面から想像がつかない丁寧な料理、突然チャリで東海道を爆走する意外性、北海道の取材に東京から軽トラで向かい、キャンプ場で夜を明かしているときに地震に遭遇し、出身地で避難所にかけこむハードボイルダー、そんな言葉あるか!
そして、対峙するレイコ先生がかっこいい。

「練習すれば、弾けない曲などありません」


いや、まあ、そうなんですけど、と私の声。でも、その後の諸々については読んだ方に体験してほしい。うん、ほんと勇気と感動をもらえます。火薬の匂いもしますが。
巻末に特典映像のQRコードがあるんですが、この動画が発表会のときのもの。読んだあとに見ると感動倍増なのですが、5月末までの公開なので気になってる方はすぐに買って!!!
話題になってはいたけど未読だった『ヤクザとサカナ』も読もうと思います。読んでなかったんかい!


ヤクザときどきピアノ
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本屋

2020-05-19 23:08:00 | 




あさ、出立前に絡まれたんですよ。

コロナ以降しなくなったもの。
指輪
ピアス

指輪は手を洗うから
ピアスはマスクのつけ外しで落としそうだから

神戸市北区はあちこち営業再開していて通常モード。営業自粛中も本屋は開いてましたが、なかなか読もう!としてなかったので買わず。
しかし、なんだかざわつきが落ち着いてきた(違うざわつきもあるけど)ので、昨日今日と二日連続本屋で購入。

道路沿いの大きな店舗は入った途端に懐かしい古い本屋の匂いが。ただ残念なことにヘイト本ありけり。郷愁と相殺。一冊購入。
ショッピングモールに入ってる本屋はヘイト本を置いてないので、ポイントカードも作り、三冊購入。
コロナ前に買った短編集を寝る前に読みつつ、新しい本をはべらせて眠りにつきます。
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スカちゃんと菱沼さんに会える五月はじめ

2020-05-01 17:46:00 | 


なんと、5/1から4まで「動物のお医者さん」と「ここはグリーン・ウッド」が無料公開(アプリ)のみ。
読み耽ってしまう〜。

わたしは文系でしたが、「動物のお医者さん」の浮世離れした登場者は学生時代に重ねたし、なんと言ってもキャッチーなセリフの数々。俺はやるぜ、俺はやるぜ。

そして、「ここはグリーン・ウッド」は我が青春。高1の頃に連載始まって、めちゃくちゃハマりました。コミックは手放しましたが、







LPが!




深津絵里の歌とかあったんたんですよ。

プレーヤーがないから聞けない!!

昭和の終わりからの連載スタートゆえに、いまのひとらには受け入れられるんか?と思いますが、こちらは当時の読者へのサービスか?

いやはや、スマホを置かないゴールデンウィーク!

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朝井まかて『グッドバイ』

2020-02-10 22:29:16 | 
長崎を舞台にした歴史小説。
近代への黎明期、茶葉の輸出で財をなした女傑・大浦慶の波瀾万丈の一生を描います。
波瀾万丈とは手垢のついた表現、読みながら一緒にその一生を追体験している読み手としては本人が道を切り開いているので翻弄されるのではなく女性経営者の姿が見えるので爽快です。

当時の長崎の商売や文化が遠く離れている京都や大坂などの伝統やしきたりを踏襲しているように思えました。
長崎の言葉で書かれた会話文。大浦慶やそのまわりの人たちあが豊かに立ち上がります。

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増山実『甘夏とオリオン』

2020-01-25 23:42:48 | 
平成最後の年からはじまる上方落語の噺家の世界を舞台にした小説です。
主人公は女性の噺家、甘夏。
女性が男性の社会だった落語に取り込む難しさや兄弟弟子たち含めての若手の悩み。
エンターテインメント(文学)としての作品の基軸と土台になる「落語」とそれにまつわる世界の話。
取材や文献、また実際に見てきた<事実>を取り込んで消化していると思うのは、表現者としての苦悩が描かれていること。
わたしは素人なのでその苦悩の実際は分からないけれど小説という読み物においては共感もしたし、新鮮に感じた描写もありました。

ある日、甘夏の師匠が失踪。
残された弟子たちが「師匠死んじゃったかもしれない寄席」を開催しながら師匠を待つという。
そこで浮かび上がるのは実は弟子たちの背負ってるもの。
大変面白い作品でした。


甘夏とオリオン

KADOKAWAオフィシャルサイト

 
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朝井まかて『落花狼藉』

2020-01-16 22:01:00 | 
文学学校で小説を書いていたときにテーマにしていたのは「(等身大の)女性を描く」ことだったのですが、朝井まかてさんの作品のテーマも(わたしよりもっと範囲が広いが)「女性を描く」なんだろうなと思います。
吉原の成り立ちと変遷を遊女屋の女将の一生を通して描いた作品。歴史的事実を積み重ねた上で表舞台に立たっていない女将を主役に選んだことにより創作としてのふくらみがあり、やはりまかてさんは現代作家なんだと実感。冒頭にでてきた桜の話、デビュー作を思い出しました。子をなすことができないソメイヨシノと吉原と。

わたしの話に戻ると、小説を書いてたときはそうでしたが、落語だとことさら“女性”にフォーカスしないけども、(等身大の)自分が演じるというところでいまもわりと表現としては変わっていないと思ったりしています。






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大阪と宝塚と

2019-04-01 22:14:23 | 
続けて読んだ本が戦時下の関西を描いたものでした。
 
田辺聖子『私の大阪八景』戦時下の大阪の女学生を描いた自伝的小説。大学の歴史の授業で『ボクラ少国民』山中恒をテキストのひとつとしていて読んだことを思い出し重なった。お聖さんのそれはあくまでも主人公トキコを描く。熱しやすいトキコの愛国心は滑稽。時代を経て振り返って筆者はもちろんそれも折り込み済み。タイトルにあるように大阪、兵庫での戦中が書かれ、大阪弁はやらかく、少女の心のつぶやきは生々しい。差別的な証言も包み隠さず書かれているのはこれが書かれた時代に読んだ人が冷静に判断するだろうということがあったのだと思うがヘイトがあふれる昨今作者の意図と違うところを同調する人もいるだろうと思った。いやな時代だ(いまが)。
 
増山実『風よ僕らに海の歌を』こちらも戦時下から物語がはじまる。宝塚の老舗イタリアンの店主をモデルにした作品で、同盟国からやがて敵対国になったイタリア人が歴史に翻弄される様を描いている。中盤からは主人公は息子に。息子は関西でバンド活動をする。ライバルとしてジュリー、そして東京で見て衝撃を受けたのがショーケンてこらまたタイムリーな。随所に描かれる宝塚、神戸。また、日本で本当の意味で老舗のイタリアン二店舗がわたしの住まうところに縁があるというのを知る。最後はイタリアに話が飛び大団円に。しかし、最後の章がセリフでの説明が多く物語りとしては着地が弱い感じ。過去の物語が厚いほど現代は描きにくいのか。
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献本

2019-03-20 20:47:00 | 
10年ほど前の文校通教のときのクラスメートから送られてきた!そして、はじめて本職知った!経済学の先生やった!
ほんで今までやりとりしてた名前がペンネームやったってはじめて知った!←聞いてかも?

 

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細川貂々『お多福来い来い: てんてんの落語案内』

2018-07-31 21:50:53 | 
お多福来い来い: てんてんの落語案内
クリエーター情報なし
小学館


たとえば、“普通”に暮らしていてもそこに至る道は人それぞれ違うのでヒッカカル場所はそれぞれ違う。
私なんかは割と心の狭い腹黒い人間の割に人に向けられた悪意の前にはわなわなと立ち尽くしてしまうのである。これはトラウマがなせる業なのかそうなのか。
本や落語に関しても人がヒッカカルところはそれぞれ違うので、感想や受けるところが自分とは違っていてもそれはありなのである。だって、「好きにしたらええやん」な部分だから。
ともあれ先にこれを書いておくのは、本の中で取り上げられたある噺に関して「それは違う」という意見がでてくると思ったから。ええねん、自分が好きなように感じたら。
さて、『ツレがウツになりまして』の作者が宝塚に引っ越してきていたとは知らなんだ!読みだしてすぐに釈徹宗先生が登場。先生、売れっ子やしな。東京にも行ってはるのかと読み進めると、
お子さんが通うのが<宝塚市こども落語教室>
なに?!
林家染左さん、笑福亭智之助さんが先生としてでてきます。
さらに繁昌亭がでてきて、作者がよくいくうどん屋さんが「絹延橋うどん研究所」、そこから池田の「吾妻」「更科」と分かる分かる。
そんなところを身近に思いつつ、この本のテーマは「落語を通して希望がもてた」であり「生きづらさ」を感じている人を励ますエッセイとして作者が落語を通して生き生きしている様を感じられます。

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