メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス) | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
読書会に行ったら、いつもの半分の4名でした。なのにいつもよりたっぷりしゃべりました。
作者アンソニー・ドーアは私と同じ歳なのですが、国・場所、時代、年齢、環境それぞれの設定が違う巧みな作品群。アメリカ人にはなじみなないであろう韓国や中国在住の中国人の話なんか同じアジア人の私たちとアメリカ人では読む印象が違うだろうなあと思いました。どういう評価だったんでしょうね。
記憶をテーマにして書かれた短編集で、私的に印象に残った作品は「メモリー・ウォール」(15年後の南アフリカを舞台にした近未来的な内容ながら、共有される記憶とそれぞれの意思と結果が切ない)「一一三号村」(三峡ダムに沈む村とそこに住む女)「ネムナス川」(リトアニアの祖父に引き取られたアメリカ育ちの孫娘、祖父は神はいないと言い、保守的なクリスチャンの父に育てられた孫娘は見えないからといって信じないのかと口に出すことができない)「来世」(ナチの手を逃れてアメリカに渡った祖母と孫)です。
説明的なことが少なくて、その分場面がシャープに感じました。内心の描写も少ないので、読み手にとって受け取り方が微妙に異なるのかなあ、と読書会でも思いました。