先日、「きん(囗の中に禾)」について調べていた折、『古文字詁林』に書かれていた以下の文章に疑問を持った。
京以畳韻借爲倉。
「京」と「倉」が畳韻なので、(前文で京と書いてある)「京」は「倉」の仮借字である、と言っているのだと思う。
上の文に続けて、以下のようにあるので。
故廣雅曰。京。倉也。
分らなかったのは、「京と倉が畳韻」ということ。
今までに得た知識からすると、「通音」もしくは「音が近い」ことによって、と説明されるところだと思う。
以前に受けた「中国語概論」の授業で、王力の『漢語史稿』の「語法の発展」をテキストにして学んだことがあり、その時「双声畳韻」について説明を受けた。
双声とは、漢字2字の熟語において、「参差」のように各字の声母が同じであること。
畳韻とは、「窈窕」のように同じ韻字を2字重ねること。
というように、双声畳韻の説明をする時には殆ど熟語で説明がなされている。
故に、熟語で、声母・韻母が同じ時の説明に「双声・畳韻」という術語を使って説明するものだと思っていた。
それで、熟語として用いられていないのに「京と倉が畳韻」としてあることを不審に思った。
それでいろいろ調べてみたところ、『中国訓詁学』(山東大学出版社)「第9章 釈詞」に「以双声字相通法」・「以畳韻字相通法」として説明が挙げられていた。
やはり、仮借の説明として「音通・近音」だけではなく、「双声」「畳韻」又「双声畳韻」が使われているのである。
今日、別の調べ物をしていて、『中国古典読法通論』(原著王力)を見ていたところ、目から鱗の文章を見つけた。
というか、日本語だったから分りやすかったというか・・・
「古音通仮」について書いてあるもので、
假借字が現れるのは、次のような原則に基づく。すなわち語音が同じか、また近似していなければならないということである。時には假借字と本字とが双声畳韻であるだけでよいこともあるが、(以下省略)
「假借字と本字とが双声畳韻」とはっきり書いてあるじゃありませんか! ってN先生の口真似!
これですっきり!
今までのもやもやが一挙に解決
ことの発端は、今使っているテキストにあった「きん」の1字。
此の文字の説明を聞き落とし、調べ始めたことによる。
後日先生に再度教えて戴いたが、本来は「こめぐら」を意味する字であるが、文章では「豊かなものを与えてくれる草むら」の意味で使われているということであった。
やはり疑問を持ったことはとことん調べてみるものです!
そうすれば必ず答えが得られる
そしてそれが知識をどんどん広げてくれる
好奇心旺盛の賜物です
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