今回はカンタベリーの勉強のコーナーです。よろしくお願いします。
カンタベリー・ロックといえば、ソフト・マシーン、キャラヴァンなのだが、第3のバンドとして有名なのが、hatfield and the north。このバンド、日本でどれだけ売れたかわからないけど、メジャーな存在ではなかったのは間違いないと思う。
私自身、リアルタイムで存在を知っているのだが、当時レコードを聴いていないし、ラジオで全然流れていないし、友人でもレコードを買ったという話を聴いたことがない。まあ、マスメディアでとりあげない存在(ヴァージン・レコードは当時例のエクソシストの音楽に採用されたマイク・オールドフィールドで大儲けしてたから、広告はよく出していて、そこにはハットフィールド&ザ・ノースは記載されていたけど。)だから無理もない。当時お金のなかった少年たちは大人になってからCDを買ったりしたと思う。私も後追いでこのバンドの詳細を知った。
バンド名が変わっているのだが、このバンド名はロンドンから北に向かう主要幹線道路の道路標識が由来のようだ。
ファースト・アルバムは1974年。
結成当初からメンバーの入れ替えがあったんだけど、アルバム作成時のメンバーは、元ゴングのビップ・パイル(D)、元マッチング・モウルのフィル・ミラー(G)、元キャラヴァンのリチャード・シンクレア(B、V)、元エッグのデイヴ・スチュアート(K)。そしてゲストにHENRY COWのジェフ・リー(サックス、フルート)、ロバート・ワイアット(V)、ジミー・ヘイスティングス(フルート、サックス)、バーバラ・ガスキン(コーラス)など。
音楽性は、難解で普通のポップス・ファンを戸惑わせるソフト・マシーンとけっこうポップでプログレ・ファンからポップすぎると批判を受けるキャラヴァンの中間に位置する。
難しくてテクニカルな音楽をやってるけど、結構ききやすいのである。
とにかく、演奏がうまくて、センスが抜群。
惜しむらくは名曲と呼べるような曲がない。派手な曲が1曲でもあれば彼らも有名になったろうに。
さて、1974年のデビュー作は2作目が名作とされているために、けっこう知られていないかも。
でも、すごい作品だと思う。
まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、きらめくようないろんな音がでてくる。ソフト・マシーンやキャラヴァンのような音もあるが、その辺については単なる一部になってるくらい目まぐるしく展開がある。
面白いバンドなので、プログレッシブ・ロック・ファンでプログレ5大バンド以外に何か聴きたくなったという人におすすめのバンドといいたい。
では、私がお気に入りの3曲を紹介したい。
Son Of 'There's No Place Like Homerton'
Son Of 'There's No Place Like Homerton'。この曲はプログレっぽい音作りと細かいアレンジが魅力。ジャズっぽいところもあるが、あくまでロックで聴きやすい。知的な面を感じさせつつエンタメ性が高い。万華鏡のような彼らのサウンドを象徴する曲。
Rifferama
Rifferama。この曲は80年代に活躍する日本のカシオペアの初期を思わせる曲だ。当時としては、かなりモダンなフュージョン・サウンドで、驚かされる。エンタメ性があり、ソフト・マシーンよりオシャレだと思う。圧倒的なテクニックをサラッと出しているのがすごい。
Lobster In Cleavage Probe
Lobster In Cleavage Probe。イージーリスニング系の曲かなあって思っていると、途中からミニマル・ミュージックっぽくなっていく。 そしてキャラヴァン風の華やかなシンセ・サウンドへ。さらにフュージョン・サウンドっぽく変化。4分弱の曲の中に展開がてんこ盛りである。彼らのあふれ出る才能が発揮された素晴らしい曲。
このアルバムはボーナス・トラックを除き15曲あり、バラエティに富んでいる。前述したように、決定的な名曲がないために、印象が弱いアルバムとなってしまっているけど、テクニカルだし、表情が豊かだし、実に楽しめる。
聴き手を拒否しないプログレ作品である。