ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

The Inside Story / Robben Ford 1979年5月

2023-10-14 14:54:50 | fusion
ロベン・フォードといえば、最近はブルース・ギタリストとして認知されていますが、1970年代はジャズ・フュージョン系ギタリストの印象だったと思います。
やはり、トム・スコットのバンドに参加したイメージが強いですね。
1975年に発表されたトム・スコットのLAエクスプレス名義のセカンド・アルバム「トム・キャット」で、ラリー・カールトンの後釜として演奏していました。演奏はやはり、フュージョンであり、そっち系だなと思うのが当然で、当時、学生だった私は、ジャズ・フュージョン系のギタリストと思ってました。

で、そのロベン・フォードのファースト・ソロ作品「The Inside Story」を今回取り上げます。これが素晴らしい。
もちろん、ブルース・ギタリスト兼ヴォーカリストの彼も好きなのですが、これはこれで、聴きこみがいがあります。

邦題はなぜか「ギターに愛を」。
当時のレコード会社のセンスですね。
ギタリストのソロアルバムだから、ちょっと目を引くタイトルにしたのかと想像します。当時のレコード会社はギター・ヒーロー大好きですから。
日本の音楽ファンもギター・ヒーロー大好きでした。

厳密にいうとこの作品の前に「メロウ・ムード(これも邦題です。原題はSchizophonic )」(1976年発表)というのがあるんですが、どうもこの作品は本人が意図して発表したものではないようなんですね。それで公式には「The Inside Story」がデビュー・アルバムということになります。

このアルバム、発売当時、どれだけ話題になったのか覚えていません。当時私は、ラジオで話題の作品の情報を得ていたのですが、ラリー・カールトンやリー・リトナーがけっこうFMラジオでオンエアされるのに、このアルバムはオンエアを聴いた覚えがありません。知名度では当時今一つだったからでしょうか?レコード会社のプッシュも弱かったかな?それに、前者に比べるとポップさでは地味に聴こえたかもしれませんね。
カールトンやリトナーのメロディアスで覚えやすいギター・フュージョンとはちょっと違いますから。

でも、現在、このアルバムを聴くとなかなかいいです。この人のギターの音って、けっこうアタック強めで、耳に残るんですよね。そして、あまりポップでないところが、またいい(笑)。彼が大好きなブルース・フィーリングもありつつ、当時最先端のフュージョン・サウンドになっていて渋みのある素敵なサウンドに仕上がっています。聴きこみがいがある作品です。
そして、プロデューサーがSteve Cropperであるのもいいです。
なんて言ったって、私の大好きなジェフ・ベックの”オレンジ・アルバム”をプロデュースした人です。悪いわけがありません。思い込みですけど。


ギターとヴォーカル担当(”Need Somebody”という曲ではローランドのエレピを弾いています)するRobben Ford 以外の参加メンバーはこのあとYellow JacketsをRobben Ford と結成することになる3人、Russell Farranete(key)、Jimmy Haslip(b)、Ricky Lawson(d)を主として、Alan Rubin(t)、Tom Malone(t,sax)、Lou Marini(sax)等です。洗練された当時の最高のフュージョン・サウンドで、ギター以外の音を楽しむのも面白いですね。

まずはリーダートラックを聴きましょう。1曲目は”Magic Sam”。惜しくも32才で亡くなったシカゴで活躍したギター&ヴォーカルの名手の名前です。シカゴ・ブルースが大好きなRobbenらしい曲名の付け方です。でも、ブルースではありません。ブルースっぽいところもなくはないけど、やはりフュージョン・ギター曲です。乾いたギターのカッティングのあと流れるようなギター・ソロはおしゃれです。とにかく音色がいい!カールトンやリトナーに引けをとりません。キャッチーな曲だと思います。シンセソロのところはまるで日本のカシオペアそっくり。野呂一生と向谷実かと思ってしまいました。
Magic Sam
 

次に2曲目の”For The One I Love”。1曲目と変わって静かな曲ですけど、よくギターが歌っています。メロディアスで、ブルースっぽくはありません。じっくり聴くとギターに酔いしれます。リトナーやカールトンと比べると野性的な音って感じがします。ある意味、ロックっぽいということなのかもしれません。

For The One I Love


次は3曲目の”North Carolina”です。この曲はブルース志向ですね。とはいっても、バックが完璧なフュージョン・サウンドですので、なんか軽い感じで、オシャレ。なお、この曲はヴォーカル入りです。シカゴ・ブルースに心酔しているロベンのブルース唱法はなかなか堂に入っています。誰かがネットで書いていましたが、ブルース・フュージョンって感じ。ギター・ソロは完全にブルースが炸裂してます。

North Carolina  

次はアルバムタイトル曲の”The Inside Story”。5曲目に入っています。
テーマリフが重いのが印象的です。でも、それ以外はけっこう軽く、メロディアスなギターの弾きまくりが楽しめます。でもカールトンやリトナーのようなポップな方向には行かず、ややブルースっぽくて、全体的には渋いかも。そこが彼の個性になっています。
The Inside Story  

最後にはアルバムでも最後になる8曲目の”Tee Time For Eric”。
攻めてる感じのロベンのキレッキレのカッティングとカールトンのような勢いのあるギターがまさに流れるような感じでワクワクする曲です。スリリングです。なんでこの曲を最後にしたんだろうと思ってしまいます。メロディに起承転結があるのが素敵です。
ピアノとの絡みも最高。当時のギター・フュージョン曲としては充実の一曲だと思います。
Tee Time For Eric

次回は、この録音の流れで結成されたのであろう、「Yellowjackets」のファースト・アルバムを取り上げたいと考えています。

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