70才定年制とか人生100年時代とか、年金だけでは定年後30年で2000万円不足するとかの報告書が公表されたり、政界、経済界、マスコミ等で大騒ぎになっているが、自分の定年後を振り返って、60才から年金生活に入って大正解であった。政府は、65才どころか70才まで年金生活に入らないように誘導することに躍起になっているが、とんでもない話である。70才からの年金支給をもくろみ、現行の年金制度維持に必死であるようである。我々を70才まで働かせようとしているが、男性の健康寿命は72才であることをちゃんと理解しているのであろうか?男性の平均寿命は、81才であるが、72才から81才までは、生きてはいても、健康的な生活はできていないのである。寝たきりとか要看護とか認知症を患っているかとかが落ちである。健康を保ち、旅行に行ったり、好きな趣味活動したりできるのは、平均的には、72才までという現実を直視すべきである。
自分の定年後の10年間を振り返ってみると、60才で自由時間を得ることができたおかげで、念願の海外留学もできたし、海外旅行も10年間で30回以上、43か国もの新しい国々に旅行することができたし、大学時代にやっていた卓球、会社に入って始めたテニスやゴルフも好きなようにやることができた。このような精力的な活動は、60才からの10年だからこそできた話で、70才からでは、到底無理な話である。
年金だけでは、生活資金としては不十分であることは十分認識しており、退職金や預貯金の確保にも努めているが、年寄りにとってはお金よりも時間の方がもっと大切である。時間というのは、自分でコントロールできる自由時間である。現役時代は、お金はあっても、自由時間がないので、好きなことを自由にやることは相当制限される。海外旅行だって、頑張っても1週間程度が落ちであるが、自由を得た定年後は、1カ月を超す旅行も何回か経験できたし、留学を含む海外ロングステイは5カ月にもわたって貴重な経験をすることができた。70才を過ぎてから始めようと思っても、とてもそんな元気は出てこない。
仕事以外に何も趣味がない人だったら、70才まで働いてもいいが、たった一度の人生、後悔することなく、好きなことをやってみたいと思っているのであれば、できるだけ若い時に自由生活に入ることが望ましい。昨今は60才を過ぎても働いている人も多いが、できれば、60才で自由人になりたいものである。60~70才は、人生で一番好きなことができる時であり、この10年間の過ごし方が人生の分かれ目である。何となく仕事を続けるか自由奔放に好きなことをやるかでは雲泥の差がある。この間に病に倒れる人も少なくないが、健康を保っていても仕事で自由時間を謳歌できないのであれば、人生を後悔する結果となる。いざこれからという時に病に倒れる可能性は決して少なくない。まさに「後悔先に立たず」である。