ある女性の訴えで、従来の規定を変更して、ドイツの首都ベルリンの市営プールで、女性も男性と同じように「トップレス」で泳ぐことが認められたという面白いニュースが目に留まった。水泳パンツだけで泳ごうとして利用を拒否された30代の女性が「差別だ」と訴えたことを受け、プールの管理当局が内部規定を変更したという。
ドイツで4年ほど生活したことがあるが、ドイツ人の裸に対する感覚は日本人にとってビックリするほど異なる。冬太陽を浴びる機会が少ないドイツ人にとって、健康のためにも、太陽に裸をさらすことが優先される。夏の間、湖水浴も盛んであるが、湖岸ビーチでは、水着着用のエリアと水着なしのエリアに分かれており、着用のエリアでも、トップレスの女性もかなり多く見かけた。水着なしのエリアでは、まさにボトムレスの状態で、体全体に太陽の日差しを浴びることができるのである。ドイツ人はルール順守にきっちりしているので、二つのエリアの境界線では、誰もがきちんと水着を脱いだり、着用したりしていた。
ドイツでは、サウナも大変人気があるが、多くのサウナは男女混浴である。30年以上前のことであるが、フランクフルトのインターコンチネンタル(各エアラインのクルーホテルでもあった)のサウナも混浴であったし、近郊のバードホンブルクにあるサウナでも、1階部分には水着着用のプール、2階部分には水着着用禁止のプールとサウナがあった。サウナは当然ながら混浴なので、裸のおつきあいができるというものである。サウナで一汗かき、そのままプールに飛び込み、夏は外に出て何も着けずに太陽を全身に浴びる。これがドイツ人の健康法である。サウナでは、裸で板の上に座ることになるので、タオルはおしりの下に敷くのがエチケットで、上にかけるのは、マナー違反である。そんな経験があったので、このニュースはよく理解できる。ドイツ人にとって裸は恥ずかしいものではなく、健康増進が何よりも優先されるのである。今も変わっていないようである。
毎日新聞オンライン記事(3/18): https://mainichi.jp/articles/20230318/k00/00m/030/219000c