新規感染者減、リバウンド警戒 医療体制は改善傾向
2021/09/19 19:16
(毎日新聞)
新型コロナウイルスの感染症に伴う緊急事態宣言の解除期限(30日)が迫る中、新規感染者数は減少が続いている。宣言発令中の19都道府県では、逼迫(ひっぱく)していた医療提供体制の状況も改善傾向だ。ただ専門家は、解除後に再び感染者数が増加に転じる「リバウンド」を警戒している。
厚生労働省の17日時点の資料によると、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は、宣言発令中の19都道府県のうち、14都府県で「感染爆発」を示すステージ4の基準(25人)を上回った。最も深刻なのは沖縄県(120・58人)で、大阪府(80・96人)、東京都(50・86人)なども高い。ただ、19都道府県のいずれも、少なくとも2週間は減少傾向が続いており、政府の分科会が9月に示した宣言の解除基準に当てはまる。厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」の座長、脇田隆字・国立感染症研究所長は16日の記者会見で、最近の感染者数について「非常に安定して減少している」と評価した。
医療提供体制も改善している。確保を見込む病床の使用率は埼玉県(61・2%)が最も高く、大阪府(60・5%)や沖縄県(59・7%)など8府県がステージ4(50%以上)だった。ただ、16都府県がステージ4だった前週よりも、切迫した状況は和らいだ。重症患者用の病床使用率も、ステージ4(50%以上)に当てはまるのは▽東京(76・1%)▽沖縄(58・6%)▽神奈川(55・1%)▽千葉(54・5%)――の4都県。前週より5府県減った。
それでも、専門家は楽観していない。国際医療福祉大の松本哲哉教授は「感染者数が減少に転じたとはいえ、今春の第4波のピーク時とまだ同程度の多さだ」と指摘。緊急事態宣言の解除後は「冬に向けて『リバウンド』する恐れがある。インフルエンザの流行が重なることも考えられる」として、若い世代が確実にワクチン接種を受けられるようにしたり、薬局での市販も検討される抗原検査キットの購入費を国が補助したりすることで、少しでも新型コロナの感染を抑え込むことを提案した。【小川祐希】