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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

モチキビ

2017年07月03日 | 草木:野菜

 甘藷(サツマイモ)を常時栽培しているので、食うのには困らない。畑にはウコン、グヮバなどがあり、ウコン茶、グヮバ茶など作ってお茶にも困らない。野菜もいろいろ採れるので取り敢えずこれで生きては行けるが、生きるには楽しみも必要。
 タバコは、無いなら無いで済ませられるが、口寂しいと思ったらヘチマの茎(乾燥させてタバコの代用になる)でも吸っていればいい。問題は酒、酒は私の楽しみの大きなもので、「無いなら無いで済ませ」たくない。自給しようと考えている。
 甘藷は酒の材になる。それで酒作りをと考えないでもないが、甘藷は主食であり、「私の命の糧」という地位に置いているので、そう簡単には他の用途にしたくない。で、酒の材になる他の穀物を栽培しようと計画している。

 つい最近、キクイモが酒の材になることを知って喜んだが、芋系では無く、ビール、日本酒、泡盛などのようにイネ科系の酒も欲しい。米や麦などを考えているが、キビもその候補の一つ。栽培しやすいのはどれか、酒を醸造するのが簡単なのはどれかなどを考慮して、何を栽培するか決めようと考えていた。考えていたが、取り敢えずキビ。
 何故キビ?かというと、モチキビの実が今手元にあるから。一昨年の与那国・八重山諸島オジサン二人旅で、同行の友人Kが波照間島で購入し、私にくれたもの。
 モチキビとはキビ(黍団子のキビ)のうち、実に粘り気があるもの。雑穀の一つ。雑穀なのでおそらく栽培しやすいと思われる。しかも、「酒の原料になる」と広辞苑に書かれている。これを畑に播こうと考えている。購入したのは一昨年の秋、1年半も経って既に消費期限は過ぎている。その実が発芽するかどうかは全く確信が無いが。
 
 モチキビ(糯黍):穀物
 イネ科の一年生作物 インド原産とされている 方言名:マージン
 名前の由来、キビが広辞苑にあり「キミ(黍)の転」とのこと。キミという発音がキビに転じるのは何となく理解できる。遠い未来に「僕はキビのことが好きだ」という青年が現れても不思議では無い。しかしながら、ではキミ(黍)は何か?というとこれは不明。中国語の発音が日本ではキミと聞こえたのだろうか?
 キビは黍団子のキビで、うるち種ともち種があり、モチキビはその内のもち種のこと。中国ではモチキビに黍、ウルチキビに稷の字を充てる。日本では総称して黍。モチキビはその名の通り実に粘り気があり、これが黍団子の材となる。
 棹長は100~170センチ、基部から2~3本に分かれて茎を出し、それぞれに穂をつける。穂は夏から秋にかけて茎の先にでき、花が咲き、実がなる。
 中国では古くから主要な穀物の一つで、果実が食用となる。果実の栄養価値は米や麦に劣らず香りも良いが、味は米麦に劣るとのこと。果実は穀物として食用になる他、餅菓子の材になり、酒の原料になり、また、家畜の飼料にもなるとのこと。
 
 穂

 記:島乃ガジ丸 2013.4.9 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行


モーウイ

2017年07月03日 | 草木:野菜

 過日、近所のハルサー大先輩N爺様が「どんなもの植えている?」となっぴばるを視察に来た。「ラッカセイ、宮古島小豆、シマラッキョウ、エダマメ・・・」などと畑の中を歩きながら爺様に答えていった。そして、「こっちはモーウイ」と言った時、
 「それはモーウイじゃないよ」と爺様が笑った。
 「でも、園芸店からモーウイと名の付いている苗を買ったんですよ」
 「それは店が間違っている。最近はどこでもそう間違っているな」

 そういえば、と思い出した。私が参考にしている文献の写真と、これまで私が作ってきたモーウイ、そして、スーパーの野菜売り場に並んでいるモーウイとは見た目が違う。文献のモーウイは淡い緑色をしているが、最近のモーウイは赤っぽい。
 そういえば、とまた思いだした。スーパーの野菜売り場に並んでいるモーウイ(これまでその名であった)の中には赤毛瓜とか赤モーウイと表記されているものもある。
 参考にしている文献はもう30年ほど前の発行である。その頃、N爺様が育てていたモーウイは文献の淡い緑色のものと一緒で、それがモーウイと沖縄で呼ぶものであったのだろう。今の赤いモーウイは後年やってきたということに違いない。なので、それをよく知っている担当者がいるスーパーでは赤毛瓜と表記しているのだろう。
 
 モーウイ(毛瓜):果菜
 ウリ科の一年生果菜 インド原産とされている 方言名:モーウイ
 名前の由来、と言ってもモーウイは方言名だが、ウイは瓜の沖縄読みでその通り瓜の仲間。果実に毛が生えているわけではないので、モー(毛)は髪の毛の毛、陰毛の毛では無いと思われる。沖縄語で言う毛は、髪の毛の毛の意味もあるが「野原、原っぱ」という意味もある。よって、モーウイは野原の瓜ということになるが、確信は無い。
 モーウイが和名の何を指しているかについても確信が無い。私が参考にしている古い文献には「シロウリ、方言名モーウイ」となっているが、最近スーパーや八百屋に並んでいるモーウイはアカウリ(赤瓜)、またはアカモーウイ(赤毛瓜)となっている。
 古い文献と87歳の爺様の言うことが正しいとすると、モーウイはシロウリで、マクワウリの変種とのこと。別名をアサウリ、またはツケウリとも言う。
 シロウリの果実は淡い緑色をしており、円筒形で表面は滑らか、果肉は白い。倭国では古くから味噌漬や奈良漬(酒粕漬け)に用いられている。アカウリの果実は同じく円筒形で果肉は白いが、表面は滑らかで無く、ザラザラしている。色は赤っぽい。
 学名を見るとモーウイはメロンの変種となっている。マクワウリもメロンの変種で、シロウリもアカウリも同様。マクワウリは知らないが、モーウイはメロンの変種らしくその果実は確かに良い香りがする。さほど甘くは無いが水分は多い。ちなみに学名、
 メロン Cucumis melo L.
 シロウリとアカウリ Cucumis melo var. conoman
 マクワウリ Cucumis melo var. makuwa
 
 花
 
 赤毛瓜

 記:島乃ガジ丸 2013.4.7 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行


メボウキ(バジル)

2017年07月03日 | 草木:野菜

 金曜日の職場の近くに従姉の別荘がある。ヤンバルの山中、あるいはどこぞの海辺とかに別荘があるのなら解るが、そこは宜野湾市の住宅街にあり、自宅である首里のマンションから車で30分ほどの距離しかない。何の目的の別荘なのか、私には今もって不可解なのである。自宅と別荘との間を、従姉とその亭主の二人は週に何度も行き来している。
 別荘にはちょっとした畑(私の畑の10倍くらいの広さ)がある。ときおり何やらを植えたりはしているが、あまり熱心にやっている風には見えない。年間を通じての収穫量は、十分の一しかない私の畑とどっこいどっこいなのではないだろうか。
 その別荘ができた頃、たまたま従姉の亭主が転勤となって、夫婦揃って沖縄を離れた。で、私が別荘の管理をすることになった。週末に出かけ、部屋の換気、庭木への水遣りなどをやる。その代わり、別荘を自由に使わせてもらった。

 そんなある日、友人のKの娘がまだ小学生だった頃、彼ら一家、Kと彼の女房と娘と息子の4人、それに私の他の友人の何人かを呼んでパーティーをやった。
 Kの女房が料理するというので、「畑にバジルがあるけど何かに使う?」と私が訊いたら、女房では無く、娘の方が答えた。
 「バジリコスパゲティーにしよう。私大好き!」と。
 十歳かそこらでバジリコスパゲティーとは生意気な、と私は思ったのだが、彼女が手伝い、彼女の母親が作ってくれた生のバジルを使ったバジリコスパゲティーはすごく美味しかった。なるほどこれなら、十歳の小娘がその名を覚えてしまうであろうと納得した。
 
 メボウキ(目箒):野菜・香辛料
 シソ科の一年生草本 熱帯地方に広く分布する 方言名:なし
 メボウキでは知らない人も多いかもしれない。私も知らなかった。メボウキは和名で、バジルのことを指す。種子が目薬になるので目箒というらしい。目を掃除してくれるということ。かすみ目に効くとある。バジルはbasilと書き、元はギリシャ語とのこと。イタリア料理でよく用いられるが、イタリア語ではバジリコ(basilico)という。
 葉は食用、生のままでサラダに用いる。サラダといっても、バジルは香りも味も強いので、バジルだけをサラダにして食うのはきつい。他の野菜に添えるようにして使う。バジリコスパゲッティーにも生の葉が使える。葉を乾燥させた香辛料としても有名。
 小さく輪生する花は白から淡い紅色。目薬になるのは黒くなる果実。
 
 花

 追記(2005.10.7):先日、畑からバジルをたくさん収穫して、バジリコスパゲッティーを作った。Kの女房が作ったものと比べるとイマイチの出来。
      
 記:島乃ガジ丸 2005.8.27 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


ボタンボウフウ

2017年07月03日 | 草木:野菜

 数年前に渡名喜島を訪れた時、村の教育委員会の人に島内をあちこち案内された。渡名喜島は港へ入る海の道が狭く、ちょっと強い風が吹くと、それが他島では問題の無い風であっても船が欠航となるらしい。で、訪れる観光客の数も少ないらしい。
 村の産業もこれといって目立ったものはなく、アーサを島外へ移出しているくらい。島全体が起伏の多い形状で、農地も狭く、したがって、農産物も大量生産できない。島内消費を賄うことさえ覚束ないものと思われる。とりあえず、貧乏な島なのである。
 「海も山も魅力ある島だし、港湾整備をすれば観光客も増えるでしょう?」と訊いた。
 「いやー、じつは、観光客はあまり増えて欲しくないだよね。特に、若者たちは海や浜を荒らしていくからね。今はまだ少ないから何とかできるけど、彼らの数が増えると、村としてもその尻拭いが追いつかなくなると思うんだよね。目立った産業も無く貧乏な島だけど、平和でのんびりしている。その平和を乱すのは夏にやってくる若者たちなんだ。」と教育委員会の人は答える。そして、海岸端に生えている草を指差して、
 「今、サクナに注目している。長命草というくらい体に良いものなので、これが産業にならないかと考えている。それができれば、島も少しは豊かになると思う。」

 その話を聞いてから、もう3、4年経っている。渡名喜島特産サクナジュースやら、サクナまんじゅうとかが人気、なんていう噂は、まだ聞こえてこない。
 
 ボタンボウフウ(牡丹防風):野菜・薬草
 セリ科の多年草 関東以西~南西諸島に分布 方言名:サクナ・チョーミーグサ
 ボウフウは同じくセリ科の多年草で「根は漢方生薬の防風」(広辞苑)ということからその名がある。本種はそれと同科同属、「葉が牡丹に似ているボウフウ」なのでボタンボウフウという名。方言名の一つチョウミーグサは長命草という意。
 サクナという名で古くから知られた沖縄の薬草。ボウフウの仲間は他にハマボウフウが沖縄の海岸に自生しているが、ボウフウは無いようである。参考にしているどの文献にも記載が無く、耳にしたことも無い。この3種のボウフウ、いずれも薬用となる。
 ハマボウフウは薬草として紹介されているが、本種は薬草としてだけでなく、野菜としても食される。沖縄名物ヒージャー汁(山羊汁)に沖縄島ではフーチバー(ヨモギ)を入れるが、渡名喜や宮古、八重山辺りでは本種を入れる。刺身のつまにも使われる。若芽をお浸しにしても良く、また、天ぷらにすると美味、ほろ苦さが酒に合う。
 茎先に花序を出し、白い花を多数つける。開花期は春から夏。草丈は20~50センチほどになる。海岸近くの岩上で多く見られる。
 2012年4月訂正加筆
 
 記:島乃ガジ丸 2005.8.30 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


ホソバワダン(ニガナ)

2017年07月03日 | 草木:野菜

 小六の時、交通事故にあって腕の骨を折り、三ヶ月ばかり入院したことがある。私は、食い物については好き嫌いの少ない子供だったので、三ヶ月間の毎日三食出る病院食も美味しく食べたと思う。差し入れのケーキは食わなかったかもしれない。子供の頃からケーキの甘さは苦手だった。あんこやチョコレートの甘さは平気だったのだが・・・。
 病院食も美味しく食べた、と書いたが、じつは、正直言うと、病院食がどんなものだったかを全く覚えていない。まあ、覚えていないということからも、私にとっては病院食も、母親が作る家庭料理と何ら変わらぬ普通食だったであろうことが伺える。
 入院中何を食ったかを全く覚えていない私であるが、ただ一つ、これだけははっきり覚えている食い物がある。病院食では無く、母親が作って持ってきてくれたもの。沖縄の伝統的な滋養強壮の食い物。たぶん私は、その時、生まれて初めて食した物。

 母親が持ってきた鍋の中には、小さな魚がたくさんいた。たくさんいて、その小さな目が私を睨んでいた。それだけでも気味悪いが、まあ、その程度ではビビらない。口にする。苦い。シンジ(煎じ)薬だと言うので汁だけを飲めばいいのだが、汁が苦い。良薬口に苦し(なんて、その頃思ったわけではなかろうが)とも言うので、何とか飲む。「その野菜も食べなさい」と母が言うので、中に入っていた野菜(葉っぱ)も食う。これが予想外だった。この味を私は今でも記憶の奥に残している。強烈な苦さだったからだ。
 今では平気で食せるその葉っぱは、ウチナーグチ(沖縄口)でンザナとかンジャナバーとか言う野菜。沖縄料理にはイカ墨汁やヤギ汁、あるいは豆腐との白和えに使われる。入院中に私が食べたのはターイユ(フナ)シンジ(煎じ)という。ンザナが使われる。
 
 ニガナ(苦菜):野菜・薬草
 キク科の多年生草本 九州以南に分布 方言名:ニガナ・ンザナ
 沖縄でニガナと呼んでいる植物はホソバワダン(細葉苦菜)とハマナレン(大葉苦菜)の2種であるが、本土でニガナと呼んでいるニガナとは別種。ホソバワダンとハマナレンはどちらもキク科アゼトウナ属で、本土のニガナはキク科ニガナ属の多年草。いわば、こちらが名前としては正当のニガナであろう。
 苦いから苦菜でいいじゃない、というテキトーな考えでの呼び名ではあるが、栄養価が高く、夏場の野菜の少ない時期に重宝する。魚汁や白和えなどでよく目にする。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2005.7.5 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行