ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

社会の存在意義

2017年07月28日 | 通信-科学・空想

 車を使わない生活を目指して畑近くに引っ越したのに、引っ越してきてから8ヶ月近く過ぎたのに、家と畑を歩いて往復したのは5月29日のたった1度きり。
 前にも何かで書いたが、歩くことは健康のためでもある。畑仕事で、しゃがんでの作業を何時間もやって、たぶん、その疲労が蓄積して私は腰痛持ちになってしまっている。その腰痛は、歩くことによって回復するであろうと考えている。それなのに歩いていない。30分以上のウォーキングは5月29日以来無い。それ以前の数年間も少ない。5、6年前までは週末1万歩を超える散歩をしていたが、それ以降はほとんどやっていない。
     

 最近は歩いていないが、実は私は、歩くことは人間の基本と考えている。もう少し具体的に言うと、「歩けるということは人が自由であるための基本」である。山に行けば木の実がある、それを食えば生きられる。海に行けば貝や海草がある、それを食えば生きられる。山にも海にも行ける自由、つまりそれは、生きていける自由ではないかと。
 現代社会に生きる我々は、山の木の実や海産物を採取して生きる野生人ではない。ではあっても、「いざとなったらそうできるよ」ということは生きる自由になると思う。それには食べられるもの食べられないものの知識も要するが、「自らの意思で、行こうと思えばいつでも食えるもののある場所へ行ける」ということも必要条件となる。

 なんてことを考えながら、「ちょっと待てよ、その考えには少し不備があるのではないか?」と疑問を持つ。世の中には歩けない人も多くいる。「自ら行動して山の木の実や海産物を採取すること」のできない人はもっと多くいる。具体的には歩行もままならない老人や幼児、腹に子を抱えている臨月妊婦、身体に障害があってそうできない人など。
 「歩くことは大事だぜ、生きていることの証明だぜ」という話を、当初は書こうと思っていたが、そこでふと気付いた。「歩けない人も人、命は命、歩けるということだけが人の条件ではない。歩くことだけが生きていることの証明ではない」と思い直した。
 歩けない人でも心は歩く。心が働くということは想像ができるということ。「あー、あの人は今、山の中で食料を探すために汗をかいているんだわ。帰ってきたら優しくしてあげよう。」と新妻は思うかもしれない。そんなことの積み重ねで夫婦の絆は深くなり、いつか、無二の夫婦愛を育み、素晴らしき幸せに包まれるかもしれない。

 老人や幼児や妊婦のために、歩ける男は日々歩くことに努める。年老いた親のため、まだ小さな我が子のため、家を守っている妻のため、つまり、家族のために大黒柱は働くわけである。と考えて、「そうか、社会とはそのためか」とまで思考が及んだ。
 家族が助け合って生きているように地域社会も助け合って生きている。歩けない人がやりたくてもできないことを誰かが代わりにやっている。私がやりたくてもできないことを誰かが私の代わりにやってくれている。そういったことに皆が感謝の気持ちを抱く。そうすると世の中は平和になる。社会の存在意義とはそういうことではないか。例えば、
 「助けてくれてありがとうございます。体が不自由なので何のお礼もできませんが。」
 「いえいえ、その感謝の気持ちだけで私は幸せを頂いています。ありがとう。」なんて感じ。実は私は、良い人ぶるのが苦手なのだが、こういうのは平和を感じ、好き。
     

 記:2017.7.28 島乃ガジ丸


ハテルマギリ

2017年07月28日 | 草木:中木

 300坪の畑を始めてからの植物、及び動物写真は、ほとんど畑と畑周辺のものとなっているが、以前はあの海この海、あの山この山、あの町この町、あっちの公園こっちの公園を歩いて撮っていた。数年前(中には10数年前のものもあるが)の写真を見て、この木この花どこで撮ったのかは、老化した私の脳は蹴っても殴っても思い出せない。ただしかし、この木この花をどこで撮ったのかは、ちょいと調べれば判る。写真の撮影日時を見て、その日の日記を開けばその日その時私がどこにいたかがほとんど判る。

 ハテルマギリの写真が5枚ある。もちろん、それらの5枚はハテルマギリと知って撮ったのではなく、後日、調べてそうであると判明したもの。この内2枚は2011年9月17日で、残る3枚は2012年9月10日と日付けされている。早速どこで撮ったかを日記を開いて調べる。2011年は波照間島、2012年は多良間島であった。
 と知って、「偉いぞ俺!」と膝を叩いた。おそらく、その名前の由来となっていると思われる波照間島でハテルマギリを見て、その写真を撮っている、「本家本元のハテルマギリだぜ」と思って、「でかした俺!」と思ったわけ。ところがどっこい、
 波照間島から1年後の多良間島で撮った3枚の写真の方がきれいに撮れている。ということで、ここで紹介する写真は全て多良間島のもの・・・いや、やはり、本家本元に敬意を表して1枚だけは、実の写真だけは波照間島のものを使おう。武士の情けじゃ。

 
 ハテルマギリ(波照間桐):景観、防潮風 
 アカネ科の常緑中木 国内では宮古諸島、八重山諸島に分布 方言名:イバガサ
 名前の由来、資料はないが想像はつく。キリは高級箪笥の材料として有名なあの有名な桐。桐はゴマノハグサ科で本種はアカネ科と、ちっとも近くは無いのだが、葉の形が桐に似ているからであろう。ただ、私が見る限りでは、ハスノハギリ(ハスノハギリ科)は確かに「葉の形が桐に似ている」が、本種はさほど似ているとは思えない。
 ハテルマについては「宮古諸島、八重山諸島に分布」ということで、八重山諸島の1つである波照間島にちなんだものと思われる。
 幹は直立し高さ5m内外。葉脇から集散花序を出し花をつける。花は白色~淡黄色で芳香がある。開花期についての資料は無いが、文献の写真は5月、私の写真は9月、ということで、ここでは5月から9月に開花ということにしておく。
 海岸に自生し、耐潮性が強い。防風防潮樹として利用されるとのこと。
 
 花
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2017.7.13 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行