ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

サバ缶

2019年02月18日 | 飲食:加工品・薬草・他

 魚の餌

 テレビ観ない新聞雑誌読まない私は世間の流行りものに疎い。ではあるが、毎日の食事のほとんどを自炊している私は、ほとんど毎日その日食べる食料品の買い物に行っているので、スーパーの店頭に並ぶ商品を見て流行りものがおぼろげに分かる。たとえばカルピス、昔は1種類しかなかったが今はフルーツカルピスというのか、いろいろな果汁の混ざったカルピスがある。そして甘酒、昔はひな祭りの時期に多く見られた季節ものだったと覚えているが、今は季節問わずいつでも、そして何種類も並んでいる。
 甘酒については「何で?」と疑問に思って、従姉や友人のおばさま達に訊いた。「今流行ってるのよ、テレビで健康に良いとかって放送されたのよ」とのことであった。
 そういえば、私がまだテレビを観ていた頃、『ためしてガッテン』とか『あるある大事典』とかの番組があって、それで紹介された「健康に良い」、「ダイエットに良い」と言われたものが大流行りしていたのを思い出す。沖縄のシークヮーサーやシマラッキョウが確か、同じようにテレビで紹介され、それで人気になっていたと覚えている。

 そして、最近よく目にするのがサバの缶詰、インターネットのホームサイトにも「人気のサバ缶が・・・」なんていう記事が出てくる。おばさま達に訊くと、
 「健康に良くてダイエットにも効果があるってテレビでやっていたよ、何年か前だよ、サバでは無くてサバの缶詰がだよ。」とのこと。なるほど、またもテレビか。
 サバ缶は、私は子供の頃から親しんでいる。食べ物としては母が作るソーミンプットゥルー(チャンプルーとかタシヤーとも言う)のサバ水煮缶、大人になってからは酒の肴としてのサバ味噌煮缶、缶からそのまま食べたことを思い出す。サバ缶は貧乏人の食物と言われるほど値段が安かった。金の無い学生の頃は、キャンプに必需の肴だった。

 食べ物以外でもサバ缶はよく使った。魚釣りの餌の1つである練り餌に使った。練り餌作りを私は子供の頃(小学校低学年)に祖父から教わった。サバ缶と小麦粉をボールに入れて、練ってパン生地みたいにするだけの簡単な餌、それで魚が良く釣れた。
 男ばかりのキャンプ、焚火を囲んで泡盛を飲む。肴はサバ缶、私にとってはそんな思い出のサバ缶。オジーに教わりながら作った練り餌、サバの匂いはきつかったが、それよりも釣りへ出かける楽しみが強く、臭いのも我慢して作った、そんな思い出のサバ缶。そんなサバ缶は今でも部屋の中に時々非常食として置いてある。もう長いこと釣りに行っていない、この先も行く機会はごく稀だと思う。部屋のサバ缶は、もちろん酒の肴。
 ちなみに、キャンプの夜食べた缶詰の空き缶は、寝る前にテントから遠く離れた所に置く。空き缶の匂いに誘われて猛毒のハブがやってくるから。
     
     

 記:2019.2.16 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 


世界の半分ずつに

2019年02月15日 | ガジ丸のお話

 国境に壁を造るが如く、万里の長城よりも遥かに規模の大きい、桁違いの長さの壁を人類は設けた。北極点から南極点をぐるっと回って地球を一周する壁。壁はコンクリート造りでも鉄条網でも無く、高度10万mまで及ぶ電子の壁。電子の壁のこちら側とあちら側は自由勝手に行き来できないようになっている。赤道直下の2ヶ所に出入り口があって、そこには両側に互いの監視員がいて、そこで両側の交流がたまにあるだけ。
 大雑把に言えば、電子の壁は国境であり、電子の壁に遮られたあちら側とこちら側は別の国、というより、行き来が無く、交流もほとんどない別の世界ということになる。

 2つの世界が1つだった頃、そこは争いの絶えない世界だった。争いは争いを好む人々によって起こされたが、争いを望まぬ人々にも不幸をもたらした。他人を傷つけることを望まぬ人々、謙虚に慎ましく平和に生きようと望む人々が不幸になるのを哀れに思い、ある日ある時、神が現れて世界を2つに分けたのであった。神のお告げによって世界中の優秀な科学者たちが集まって、2つの世界を分ける電子の壁を設けたのであった。
 同じ星の上にあるこの2つの世界、自然環境はほぼ同じ、生息する生物もほぼ同じ、人種の数も種類もほぼ同じ、ただ、2つの世界には人間の性格の一部に違いがあった。
     
 2つの世界の違いは言うまでもなく、争いを好むか好まぬかという違い。争いを好む人々が住む世界と争いを好まぬ人々が住む世界となっている。2つの世界を仮にN界、U界としておく。N界は自由な世界で思いのままに生きていい世界、法律で治めないと社会がグチャグチャになる世界、法を守らぬ者も多いので争いの絶えない世界。U界は我欲を抑え相手を思いやる世界、法律よりも倫理を尊ぶ世界。よって、争いはほとんど無い。
     
     

    ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 

 私が今住んでいるアパートの近くに宜野湾市役所がある。そこで普天間基地撤去に関する集会がたまにある。その時その場所から煩い怒鳴り声が聞こえてくる。基地反対の人たちの声ではない。「お前ら!・・・」と口汚い罵り声、下品な罵りの声は基地反対の人たちに向けられた声で、警察の声ではなく右翼団体の街宣カーの声。
 「下品だねぇ、日本人として情けないねぇ」と、平和運動家で辺野古の現場にもたびたび通っているUさんに言うと、「辺野古では基地反対側のアジも口汚いよ、たいていはナイチャー(内地人)だけどね」とのこと。「そうか、同じ日本人同士、右と左で口汚く罵り合っているのか」と私は残念に思う。・・・後日(その時から約1年後)、辺野古でのアジはだいぶ前から丁寧な言葉に変わっていると聞いた。嬉しいこと。

 2月2日だったか、ネットサイトのニュースで「日本のサッカーチームが称賛を受けている」というのがあった。日本チームは試合後、自分たちが使ったロッカーをきれいに掃除して帰るらしい。それが世界から褒められ、尊敬の念を受けているとのこと。
 こういう話が私はとても嬉しい。私の好きな日本は田園風景と正義を愛す人々、「和をもって尊しとす」、水戸黄門、大岡越前、「弱きを助け、強きを挫く」、坂本龍馬、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」、司馬遼太郎、手塚治虫、水木しげるなどといった言葉や人たち。ついでにいえば日本酒、湯葉、漬物、味噌汁なども大好き。

 一方、別の記事では、日本は隣の国々から嫌われ軽蔑されているとの話もある。サッカーチームのように尊敬される行動をするものもいれば、軽蔑され嫌われる行動をする日本人もいるということであろう。隣国を見下すような言動をする人がいるのであろう。
 隣国の人々を見下すような言動をする人がいる。同じアジア人を何故?と私は思う。アメリカに尻尾を振り、同じアジア人をバカにするのは何故か?「白い肌の西洋人は黄色い肌の東洋人より上等の人間です。ですが、日本人は東洋人の中でも特別です。西洋人に近いランクの人間です」とでも言いたいのだろうか?日本人の中にそういう輩がいて、隣国にもまた、日本人を見下すような輩がいて、お互いがお互いを差別するのか?
 差別意識があるから喧嘩になるんじゃないか、相手を同じ人間として敬う気持ちがあれば争いは起きないぞと私は思い、向こうの「そういう輩」たちとこちらの「そういう輩」たちだけで1つの世界に住んでくれないかと思い、そういう人たちだけ集まってどこか別の所で喧嘩していりゃいいのにと思って、上記のお話を思い付いた。

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 争いの絶えないN界、争いのほとんど無いU界、その後どうなったか。それぞれの世界で「優しい人」、「短気な人」が同じように生まれ増えていき、数世紀後、2つの世界にほとんど差は無くなり、電子の壁は意味がなくなりいつしか撤去されたとのこと。
 関連する物語→ナンアリ島

 記:2019.2.11 島乃ガジ丸 →ガジ丸の生活目次


サクラツツジ

2019年02月13日 | 草木:低木

 沖縄島北部(通称ヤンバル)の本部町八重岳、今帰仁村今帰仁城などの桜祭りも終わったが、そのどちらにも若い頃、私は出かけている。若い頃とはもう30年以上も前だ。独身の男女数名でグループ交際もしていたので彼らと一緒だったか、この私に恋人がいた時期もあったので彼女と一緒だったか、もうよく覚えていない。胸キュンの想い出だ。
 沖縄の花祭りは、調べるといろいろあるみたいだが、私が若い頃からあったのは、有名なものは東村のツツジ祭りというのもあった。それにも私は出かけている。誰と一緒だったかは、これもはっきりは記憶していない。はっきり思い出そうとすると、桃色だったあの頃に比べ今の自分の寂しさを強く感じ、胸キュンが強くなり過ぎて心臓麻痺を起こしかねない。よって、はっきりと思い出さずにモヤーとしたままにしておく。

 東村のツツジ祭りには様々な種のツツジが植栽されていた。それぞれが見事に咲き誇っていた。などといったことは記憶に残っている。しかし、その頃の写真は無い。沖縄の植物をHPで紹介しようと思い付くずっと前、デジカメも持っていない頃の事。
 サクラツツジはそれからずっと後、沖縄の植物も動物もバシバシ、カメラに収めている頃の、2011年の今頃、2月13日に海洋博公園で撮っている。その時誰と一緒だったかは記憶に無いが、その頃の日記は残っている。調べると、大学時代の友人3人で行っている。何の目的だったかは日記にも書いていない。相手が男だと日記も短い。
 
 サクラツツジ(桜躑躅):生垣・添景
 ツツジ科の常緑低木 沖縄島中北部の山地、久米島に自生する 方言名:ヤマザックヮ
 名前の由来、資料が無く正確には不明だが、漢字表記の躑躅は漢名で、ツツジという発音は朝鮮語からきているのではないかと『木の名の由来』にあった。朝鮮語によるツツジの呼び名が日本語のツツジという発音によく似ているとのこと。サクラは「サクラの花に似た」といった意味だと思われる。
 根元から分枝し株立ち状となり、高さは2~5mになる。花は大きく径4~5センチ、淡紅紫色で内面に紫褐色の斑がある。開花期は冬~春。材は床柱に利用される。
 基本種の花色は紅色、園芸品種に紫、白、八重咲きなどがある。『沖縄植物野外観察図鑑』にシロバナサクラツツジという品種が載っていた。その名の通りの白花。
 
 花

 記:2019.2.10 ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄薬草のききめ』多和田真淳著・発行
 『身近な薬草活用手帖』寺林進監修、株式会社誠文堂新光社発行
 『食べる野草と薬草』川原勝征著、株式会社南方新社発行
 『薬用植物大事典』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 『薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行


アコウハマキモドキ

2019年02月11日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 探せば見つかる

 300坪の畑を始めてから(2012年夏)は畑仕事に忙しくそれまで趣味としていた散歩が減った。私の散歩はウォーキングではない、ブラブラ景色を眺めながらののんびり散歩、野に咲く花の写真を撮り、植物に集まる虫の写真を撮る散歩。なので、これまで知らなかった数多くの植物動物の写真が撮れ、それらを調べ、名前を知ることができた。
 畑を始めてから散歩は減ったが、畑の周囲は森のようになっており、そこに今まで出会っていない植物動物を見つけ、また、畑にも私の知らない植物が勝手に生え、私の知らない動物が勝手にやってきた。それらの多くも写真に収めてきた。
 動物の中では昆虫の類が圧倒的に多い、チョウ、ガ、ハチ、ハエ、アブ、アリ、甲虫、トンボ、バッタ、カメムシなどなど。

 「よっしゃ、今週は溜まっていた蛾の記事書き週間にしよう」と思ったことは何度もあり、図書館から蝶蛾の図鑑を借りて何度もやっていた。モンシロチョウ、アゲハチョウなど有名どころはすぐに判明したのだが、あまり知られていないものになると、これはこれである(同定というらしい)と断定することが難しくなる。似ているものがいくつもあって、雄と雌で見た目に違いがあり、季節によっても見た目に違いがあり、個体変異というのもあったりするからだ。「もうお手上げ」と根性無しは何度諦めたことか。
 腰痛を患い畑を止めざるを得なくなって、気持ちが落ち着いた去年(2018年)11月頃から気合入れて溜まりに溜まった不明動物、特に昆虫、中でも蛾の判明作業をたびたびやっている。その結果、いくつもの種類が判明した。今回紹介するのはその1つ。
 
 アコウハマキモドキ(赤秀葉捲擬き):鱗翅目の昆虫
 ハマキモドキガ科 九州~沖縄諸島、八重山諸島、東南アジアに分布 方言名:ハベル
 名前の由来は資料がなく正確には不明だが、食草がアコウということでアコウ(赤秀)と名が付くと思われる。ハマキモドキについてはハマキムシ(葉捲虫)が広辞苑にある。「植物の葉を巻いてその中にすみ、これを食害する昆虫、特にチョウ目ハマキガ科の蛾の幼虫の総称。」とのこと。ハマキモドキガ科はそのハマキガ科に似ているのでモドキ(擬き)がついているのだろう。概ねは小型の蛾。ちなみに、アコウは高さ20mにもなるクワ科の常緑高木、和歌山以南~南西諸島に分布するガジュマルの仲間。
 前翅長5~6ミリ。成虫の出現は4~6、9~11月の2回あり、冬の寒い間と夏の暑い間はお休みしているようである。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「すばやく、じぐざぐに食草周辺を飛翔する」とあり、本種であったかどうか覚えていないが、ハマキモドキガの類でそういう飛び方をするのを見た覚えがある。同書にはまた「前かがみに翅端を上げて葉上に止まる」ともあり、私の写真(ボケているが)もそんな感じ。他のハマキモドキガも似たような止まり方をする。
     参考写真
     

 記:ガジ丸 2019.2.3 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『原色昆虫大図鑑』井上寛・岡野磨瑳郎・白木隆他著、株式会社北隆館発行