中国で活動中の素カナダ外交官が、12月10日以降中国国家安全省に拘束されていることが明らかとなった。
拘束されたカナダ人は北京や香港での勤務経験を持つ元外交官で、国際シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」に所属し、昨年2月以降中国で活動していたと報じられている。例によって拘束容疑は明かされていないが、拘束したのが国家安全省であることから、スパイ容疑とされるのは疑いのないところと思う。翌12月11日に至りカナダで拘束中の華為(ファーウェイ)副社長の孟晩舟氏が、8億5千万円の保釈金・旅券の提出・監視器具の装着を条件で保釈された。この事実を時系列に眺めると、元外交官の拘束が孟氏保釈の対価と判断した結果と考えられるが、孟氏の逮捕に際して中国は在中国のアメリカ・カナダ両大使を呼んで抗議するとともに、11日には外務大臣が「座視しない」との声明を出していたものである。外相が強硬声明を出す傍ら、国家安全省が孟氏保釈に見合う交換要員を手際よく確保したことから考えて、孟氏は1企業人の枠に留まらず中国共産党が主導する知的財産窃取戦略の重要な位置にあることを図らずも露呈した格好である。フランス財界の大立者ゴーン氏の逮捕に伴うフランス政府の対応と比べると国情の違い以上のものが窺える。米加中の今後の動きは全く展望できないものの、これまでの中国の一連の動きを見るに、これこそが国家として採るべき姿勢であり、外交であると云いたい。日韓合意に反して韓国最高裁が徴用工問題で日本企業に戦時賠償を命じ、韓国政府が慰安婦財団を解散し、来年度予算では慰安婦問題の活動予算を計上する等、遣りたい放題の韓国に対して、大使を呼んで抗議し、外相談話も中国外相の語調に比し”遺憾””懸念”程度で留める日本外交。官房長官の会見でも”あらゆる選択肢を検討している”としているが、これは何も決まっていないということと同義であり、あらゆる選択肢発動のレッドラインすらも表明できないのは実効的な対抗手段を執る覚悟もないことの表明にしか過ぎない。上昇の兆しを見せた内閣支持率が再び下降の兆しを見せていることに対してメディアは拙速な入管法改正の結果と分析しているが、韓国の横暴に対して何ら有効な手段を執ることができないことが最大の原因であると思う。日韓議連の合同会合にメッセージを託さないことやG20で日韓会談を拒否したことでは十分ではない。韓国民に直截的に達するメッセージを送り、韓国国民に日本の姿勢を知らしめ韓国世論を揺さぶる程度の策を取らぬ限り、日韓関係退歩の度を止める術はないと思う。
日本外交はアメリカ追随外交であり、自主外交を目指すべきとする意見は野党を中心としてよく聞くが、対韓国に対しては自主外交の必要性を主張する声はない。北朝鮮の非核化に絡めて日韓関係も米朝関係の進展に待つ姿勢こそアメリカ追随の極致と声を上げる議員は与野党の何処にも居ないのか。
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