シリアの内戦がアサド政権の支配地域が拡大して、反政府勢力をトルコ国境沿いの北部地域に押し込めた状態となり、近々大規模な掃討作戦に着手すると観測されている。
しかしながらシリア北部地域にはクルド人勢力がトルコと対峙している状態であるため、アサド政権の対クルド人・対トルコ政策によっては更に混迷の度を深めることが予想される。アメリカがシリア内戦の介入に踏み切ったのはクルド人に対する化学兵器攻撃が契機であったが、再び化学兵器が使用されるような事態になればアメリカの再介入も予想される。シリアの内戦終結を視野に入れた周辺国の動きも流動的である。殆どの国境がシリアと接するレバノンからは格段の動きは伝えられていないが、イスラエルは、アメリカ大使館のエルサレム移転や公用語からのアラビア語除外等のユダヤ人優位政策によって、アラブ社会からの孤立を深めており、米ロ首脳会談ではイスラエルの安定について合意したとされているものの、過去の確執から考えると穏便に推移するとも思われない。シリアの軍事力が内戦終結によって対外的に向けられることを懸念してイラクとトルコは早々と軍事力の増強を表明している。シリアの内戦終結と安定は、シリア難民の流入に悩むEU諸国にとっては歓迎されることだろうが、ロシアの影響力下に置かれたシリアの伸張は中東に一層の火種を残す結果となるであろうと考える。
原子力発電、バイオマス燃料の普及、電気自動車の普及、再生可能エネルギーの拡大等により、化石燃料の戦略的価値が低下しているとはいえ、まだまだ中東の石油資源は世界経済を支えている。しかしながら埋蔵量に限界があることを知るサウジアラビアでは女性の社会進出を認め、50年後の存立を図ろうとする動きもある。中東が石油の枯れた砂漠地帯とならないためにも、各国は団結する必要があると思うのだが。
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