もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

くまのプーさんと中国の忖度

2018年08月12日 | 中国

 米ディズニー制作の「くまのプーさん実写版」が、中国で上映禁止になったらしい。

 かねてから習近平国家主席の風貌がプーさんに似ているとして、SNSを中心として国家主席を揶揄・風刺する際の隠語若しくは画像として広く使用されてきたために、今回の公開禁止は習近平氏の個人崇拝を画策する共産党路線に沿ったものと思われる。まさか「くまのプーさん」公開に関して国家主席若しくは党中央の直接・具体的な指示があったとは思われないので、検閲機関が党上位に忖度した結果であると思う。”忖度”といえば、財務省の文書改竄問題で諸悪の根源的に扱われた言葉であるが、組織内でマニュアルに無い業務を遂行する場合や一般的な集団生活の潤滑油として、忖度は無くてはならぬ存在と思う。周囲に忖度しない・できない、いわゆる”空気を読めない人間”が組織の輪を乱すケースは多い。軍事組織で幕僚が計画を作成する場合、忖度を排除するために考え得る限りのオプションを列挙して、それぞれについて適合性・受容性・可能性を数値化して最も得点の多い計画を指揮官に提示することが求められる。勿論、指揮官の決済の場で全てが覆えることも多いが、対米戦劈頭に軍令部の南方重視作戦を押し切って山本五十六連合艦隊司令長官が主導した真珠湾攻撃が、忖度排除の好例ではないかと思う。閑話休題。全体主義の独裁国家である中国において共産党中央に対する忖度は自己の生死をも左右するものと思われるので、下に行けば行くほど忖度の程度・振幅は拡大して、我々が”まさか!”と思う事態が出現するものと思うが、決定を下した当事者にとっては首を掛けた決断であろうと同情するところである。

 対米関税戦争による元安・株安・輸出不振の悪循環、マレーシア・バングラデシュ・スリランカでの一帯一路構想の頓挫、習近平主席の指導力退潮が観測されているが、北戴河会議ではどうなったのであろうか。韓国でも積弊清算が盛んに報じられており、忖度の程度では中国を超えるのかもしれないとも感じるところである。


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