もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

代表質問を観る

2021年12月09日 | 野党

 臨時国会での代表質問がたけなわである。

 立憲民主党の泉健太新代表のデビュー戦として注目したが、付焼き刃の印象が強く、真の提案型政党への脱皮には時間がかかりそうに思った。
 代表質問で泉代表が17件もの政策提言を矢継ぎ早に繰り出して提案型政党への脱皮をアピールする一方で、西村幹事長が従前の政府攻撃一本鎗を貫くという演出(役割分担)はコアな支持者を繋ぎとめるとともに新しい支持者獲得を目指す苦慮そのものと見て取れる。公党の、それも八岐大蛇を彷彿させる多様なイデオロギーが同舟する立憲民主党の転舵・変針は容易なものではないだろうことから、泉代表の評価についてはもう少し時間をかけて観ようと思っている。
 岸田首相の施政方針演説も、優等生的なものと評価されているが、改憲の努力継続、防衛費の対GDB比1%のシーリング撤廃、敵基地攻撃能力の整備、等に踏み込んだことは評価すべきであろうと思っている。このことについて、ハト派「宏池会」の首相がタカ派に押し切られて「サギ派」に変身したとするジョークを目にするが、自分には至極当然の正論を述べているに過ぎないように思える。
 敵基地攻撃能力について書けば、第一次世界大戦誘発の原因とされる1914年に起きた「サラエボ事件」を例にすると、オーストリア帝国の皇太子夫妻を殺害したのは手投げ弾と拳銃という通常の近接戦闘兵器であるが、長射程の戦略兵器に勝る威力を発揮した。このことから云えるのは、敵基地攻撃兵器なるものは存在せず、兵器の使用対象によって便宜的にそう呼ばれているに過ぎないことで、要は攻撃対象選定の意志に従っていかようにも変化する曖昧な概念に過ぎない。
 また、真珠湾攻撃での艦上攻撃機や特攻機は、航続距離が短い航空魚雷を或いは機体を・必中を期すために長射程の対空砲火をかいくぐって敵艦に肉薄して攻撃している。現在短射程の兵器しか持たない自衛隊が、長射程の兵器を装備した相手を攻撃する場合は、将に相手の射界内に身を晒して保有する兵器の射程内まで肉薄しなければならないので、自衛隊に長射程の兵器を与えないのは、自衛隊員に特攻を強要する以上の意味を持たないと思う。
 帝国海軍の大艦巨砲主義を笑う人は多いが、相手の弾が届かないところから攻撃して艦と将兵の損耗を局限しようという前提の一端は、敵基地能力の整備に懐疑的な人も思い起こして欲しいものである。

 

 


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