もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

処理水放出開始に思う

2023年08月26日 | 歴史

 福島原発処理水の海洋放出が開始されたが、放出に関する、マス・メディアやネット上での「海洋放出反対」意見には考えさせられるものが多い。

 意見の多くに共通するのは、処理水の放出反対に加えて、「そもそも原発の存在を否定する」意見が多いように思える。
 曰く「原発が無ければ処理水の問題も起きない」と云うもので、正論ではあるが「今更に!!」と思わざるを得ない。
 かって、多くの国民は家電に依る生活の向上のための安価な電力を求め、多くの知識人もスエズ戦争によるオイルショックでは地域紛争にも影響されない電力の安定供給を求めた。一方、発電手段について、光発電素子は一部の制御装置に光電管としてのみ使用される程度で大容量光発電の概念すら存在しなかったし、水力発電については洪水調整を目的とした水利ダムの建設すら住民の反対で頓挫する状況で拡充は絶望的であった。それらの要因・時代背景を考えれば、急速に拡大する電力需要を安定的に満たすには地域紛争の影響を受けずに済む原発に求めるほかなかったのではないだろうか。
 また、東電の津波対策の不備を問う声も多いが、もし東電が巨費を投じて高さ20mの防潮堤を築き、建設費用の大半を電力料金に転化するとした場合、利用者は予測・想像すらできない災害のために電力料金が上がることに反対したであろうし、一般株主はそれらによって配当が減少することを恐れる以上に「そんな金があるなら配当に回せ」とまで主張したのではないだろうか。
 このように考えれば、今回の処理水放出は「行政・国民・財界・企業・言論」の最大公約数的に推進された原発がもたらした必然の結果であり、責任は等しく負うべきものと考える。
 反対意見の多くに共通している「処理水放出は政治・企業の責任で、我々は無辜の民」としているものと同じ図式の主張を我々は知っている。
 それは「大東亜戦争は政治・外交の失敗で、特に軍部の責任が最も大きく我々は無辜の民以上に被害者である」とする主張が定説とされていることである。そこには「鬼畜米英」「撃ちてし已まぬ」と煽った言論人の責任、戦捷を提灯行列で祝った国民の狂気、政治家よりも軍人の正義を信じる世論などの時代背景は抜け落ち、戦後急増した「俄か・似非反戦転向した論者の保身の影」は見事に消されている。
 今様の概念や価値観を以て往時を測る愚は度々書いているが、今回の処理水放出に関してもその轍を踏んでいるように思えてならない。

 古人は、時間は戻せないことを承知しながら過去を悔やむことを「死んだ子の年を数える」「繰り言」としている。
 処理水の処分は避けて通れぬ現実であって、原発反対・廃炉反対・処理水放出反対だけでは何も解決できない。処理水放出反対を唱える人は、せめてこれは国民全体が招いた事故であることを認識するとともに、個人としては何をすべきかを併せて表明して欲しいものである。
 処理水を依然として「汚染水」と叫び続ける社民党などは、原発電力の恩恵を享受しながらも責任の一端すら無しとする似非国民に過ぎないと思っている。、


夏休みの宿題

2023年08月25日 | 美術

 夏休みの宿題が漸く完成しました。

 今更ながら夏休みの宿題でもないのですが、タイトルはかって人類の母親ともてはやされた「ルーシ」としました。
 ルーシーをWikipediaでは《ルーシー(Lucy)とは、1974年11月24日にエチオピアで発見された318万年前の化石人骨。アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)の中で最初期に発見されたもののひとつであり、全身の約40%にあたる骨(身長 1.1 m、推定体重29 kg)がまとまって見つかったという資料上の貴重さから、広く知られている。発見したのは、国際アファール調査隊で、ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」に因んでルーシーと命名された。
 ルーシーの発見は、類人猿に近い脳容量と人類に近い直立二足歩行を行なっていた痕跡を示す人骨という点で重要であるうえ、人類の進化において脳容量の増大よりも二足歩行が先行していたことを裏付ける証拠にもなっている。ただし、以後の研究で、ルーシーを含むアファール猿人は現代人の直接的な先祖ではないとされている。》と解説されている。

 お絵描き教室も8月は夏休みでありましたが、始業式で先生様は何と評価されるでしょうか。


「ルーシー」(F10号)

 


プリコジン氏の墜落死に思う

2023年08月24日 | 軍事

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏が所有するビジネスジェット機が墜落し、同氏の死亡が確実と報じられた。

 墜落原因については、ロシア寄り機関は「安全規則違反の疑い」「外部からの要因も含めて調査中」とし、ワグネルに近いテレグラムチャンネル「グレーゾーン」は、「地対空ミサイルによる撃墜」と断定している。
 現在では、全世界が衛星で観察・監視されているとされ、特にキナ臭いウクライナ周辺は稠密に監視されていると思うので真相は次第に明らかになるであろうが、リトビネンコ氏やスクリパリ氏に対する攻撃がMI6によってロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の犯行と断定された過去を思えば、単なる航空機事故とは思えないように思える。
 ワグネルは、民間軍事企業と傭兵の概念を大きく変質させたように思える。これまでの民間軍事企業は、戦闘の可能性はある地域でも積極的には戦闘に従事しない輸送・警備などの後方分野を請け負うことが一般的であったが、ワグネルは戦闘そのものをビジネスとしてしまった。また、これまでの傭兵は、正規軍の一部に組み込まれて指揮・監督を受けることが一般的であったが、ワグネルは兵站を正規軍に依存する以外は単独で軍事作戦を行うようになった。この変質は、内戦に悩む途上国にとって魅力的に映るのであろうか、対プーチン反乱でウクライナを追われたワグネルの一部はクーデター直後のニジェールに受け入れられたとされている。
 戦争は悪ではあっても国益の衝突であって根絶は不可能との認識に立って、世界は戦争にルールを設けて正規軍の行動は国家の意思を代弁しているものと規定した。しかしながら、正規軍の監督が及ばないワグネルの行動は全く個人の犯罪と看做すほかなく、例えウクライナ事変軍事裁判所が設けられたとしても、ワグネルの残虐行為をロシア指導部やプーチン大統領の戦争犯罪とは出来ずにワグネル構成員の個人責任以上には問えないように思っている。

 特殊部隊リタイヤ者が設立した軍事会社が、ダーティーな秘密作戦を請け負うことはあり得ることで、現にアメリカの軍事企業はカルロス・ゴーンの国外逃亡を請け負って成功した。
 ニジェールがワグネルを受け入れたのも、反対派の暗殺・粛清などを期待してのことかもしれないが、強大な装備を持つ軍事企業が暗殺等をビジネスにする時代が一般的となったら、テロなどの様相はますます不透明なものに一変するかもしれないように思える。


OSO18考

2023年08月23日 | 報道

 先月射殺されていたヒグマがDNA検査で指名手配中のOSO18と確認・特定された。

 検視では、体長210㎝、体重330㎏、命名の由来である足幅は18㎝ではなく20㎝であったとされている。
 OSO18による放牧牛被害は60頭以上とされているので射殺は当然であろうが、自分としては酪農者には申し訳ないが「射殺は残念」である。
 これは、動物愛護等の崇高な理念からではなく、単純に「お上に逆らう五右衛門や鼠小僧」に喝采した町民と同じもので、OSO18の「罠を見破り」・「警備をあざ笑うかのような神出鬼没」は、おそらく経験を知識に変える高い知能を持っていた所為であろうし、もしOSO18が知識を伝える言葉を持っていたら、ヒグマは飛躍的に進化していたかも知れない。
 OSO18は、五右衛門・鼠小僧のように分限者の牛だけ狙うことや貧者に施すことも無かったが、それでも臍曲がりの自分は「頑張れ!!」・「生き延びろ!!」と内心でエールを送っていた。

 OSO18の射殺を伝えるテレビ・新聞は一様に、「ハンター(猟友会)によって駆除された」と報じている。射殺と云う殺伐な響きを嫌っての自主規制と思うが、如何なものであろうか。
大東亜戦争末期には、大本営発表の「転進」は退却若しくは敗退を意味していたとされるし、「○○方面との伏字報道については記事の中にヒントが隠されていた」ともされている。今回の「駆除」報道についても、実行者がハンターであることから銃に依る射殺以外は考えられないが、真実を読者の判断に任せるのは適切ではないのではないだろうか。また「駆除」はゴキブリやシロアリ退治に使用されるように、将に「虫けら」扱いの意味合いが強く、相当な知能(悪知恵でも)を持った害獣に使用するのは如何なものであろうか。
 殺伐な言葉の言い換え・ソフト化は他にも「鎮圧」⇒「排除」の例がある。鎮圧には強権的は響きや武器装備使用の響きがあるが、排除は比較的に穏やかに推移したとの響きを持っている。映像では屈強な兵士や警官が時には催涙弾や放水車を使用しているのに「排除」が真実を伝える正しい言葉であろうか。そのうち警官による無法者射殺も、駆除若しくは排除が使用されるようになるだろうか。

 知能の高いOSO18は、死に臨んで「・・・浜の真砂は尽きるとも・・・」と辞世したのであろうか。


二大政党制の終焉か

2023年08月22日 | 国政・行政

 アメリカ大統領選で第3政党が台頭する可能性が取りざたされている。

 某大学が実施した世論調査で、「第3政党候補への投票を考えるか」に対して、47%が「yes」と回答し内訳では無党派層64%、民主党支持者35%、共和党支持者38%に上っているらしい。
 調査した大学の中立性などが不明なため、100%信頼できるものではないと思うが、二大政党の不毛な政争に飽き飽きした民情の一端を示しているのではないだろうか。
 現在、自由主義諸国で単一政党で政権維持しているのはアメリカ・カナダ・韓国くらいで、その他の国ではいくつかの政党が連立して政権を維持している。特に、移民問題に揺れるヨーロッパでは選挙のたびに連立の枠組みが変わっているように思える。
 自分は、議会制民主主義にあっては外交と国防について大きく乖離しない二大政党のうち、選挙で過半数を得た方が政権を担当するという二大政党制があるべき姿と思っていたが、国民の価値観が多様化した現在では二大政党背は消えゆく運命ではと思うようになった。まして日本のように憲法と防衛に関して両極端の政党に依る政権交代は国民生活を混乱させるとともに、諸外国からの信頼を失う原因となるように思い始めた。
 内治・外交に極端な二大政党の韓国では、政権交代の度にゴールポストが動いたり、場合によってはゴールポスト自体が消え失せる卓袱台返しが茶飯事であった。文政権にあっては、朴政権が取得したTHAADを可動させず、GSOMIAすら政争の具として弄んだ。尹錫悦大統領は危殆に瀕した日米韓の協調を修復しようと努めているが、これこそ2大政党制の悪しき好例に思える。
 今、立民が政権の座に就いたら、巡航ミサイルの取得計画やイージス艦の建造計画は多額の違約金を払ってでも「八ッ場ダム」とされる可能性も有り、日米関係は冷え込んで日本は名誉の孤立の道を選ばなければならなくなるだろう。そうなれば、中国は手を差し伸べるどころ力の力の空白を狙って漁夫の利を得ようとするのは間違いのないところであるように思う。

 次回の大統領選でアメリカ国民が、どのように選択するのかは分からないが、日本の将来も自公安定政権は霧散霧消し、全政党が対象のジグソーパズルに依る政権運営が常態化するのかも知れない。
 戦後における革新?政党の政権を並べて眺めてみると、いずれも短命で期待する程の実績を残せていないように思える(民主党政権に依る空白の3年間の功罪は生々しすぎるので割愛)。

片山哲内閣 1947(昭和22)年-1948(昭和23)年 社会党主体の連立-急進的な炭鉱国有化問題で混乱・瓦解
 ※1955(昭和30)年 保守合同で自民党誕生-55年体制確立
細川護熙内閣 1993(平成5)年-1994(平成6)年 新生党主体の連立-消費税の「腰だめ増税発言」で瓦解
 ※55年体制の終焉と話題に
羽田孜内閣 1994(平成6)年 新生党主体の連立
村山富市内閣 1994(平成6)年-1999(平成8)年 社会党主体の連立-自衛隊違憲の党是を捨てた社会党退潮の加速
鳩山由紀夫内閣 2009(平成21)年-2010(平成22)年 民主党主体の連立-??
菅直人内閣 2010(平成22)年-2011(平成23)年 民主党主体の連立-??
野田内閣 2011(平成23)-2012(平成24)年 民主党主体の連立-??