ゴエモンのつぶやき

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ともに生きる社会に:障害者週間記念事業・補助犬シンポに寄せて/上 /兵庫

2010年11月26日 00時57分36秒 | 障害者の自立
 ◆名古屋市総合リハビリセンター・尋木佐一部長(59)

 ◇豊かな暮らし、誰もが 自立支援訴え30年

 「第19回障害者週間記念事業・第12回身体障害者補助犬シンポジウム」が28日、宝塚市である。開催を前に、出演者や補助犬使用者ら障害者問題にかかわる人に話を聞き、共通テーマである「なくそう心の段差」に向けた思いなどを聞いた。

 「誰もが事故や病気で障害者になりうる。障害を持っても豊かに暮らせるということをもっと実証していきたいですね」

 シンポジウムでパネリストを務める名古屋市総合リハビリテーションセンターの自立支援部長、尋木佐一さん(59)は、30年以上、障害者の自立支援を続けてきた。今も障害者一人一人と向き合い、「何がしたいか」「何ができるか」をじっくりと話し合い、自立支援の方法や仕事を選ぶ手助けをしている。

 福岡県で学生時代を送った1970年代。筑豊や夕張、水俣やカネミ油症事件の舞台となった北九州……。カメラを手に各地で公害の現場や閉山してゆく炭鉱で働く人々の姿を追い、仲間と写真集を自費出版した。

 強く影響を受けたのは水俣病患者との出会い。普通の暮らしを奪われ、そこに置かれるしかない患者たちを目の当たりにし、思った。「障害者の人権の復権は、自立や社会参加抜きにはありえない」

 大学を卒業し、県内の身体・知的障害者の授産施設で職能指導員に。障害者がプライバシーが確保されない6人部屋の寮で暮らし、施設から与えられた広告の印刷などをしていた。「施設に頼っているだけでは、自立した生活とはいえないのではないか」。少しでも社会参加できる道をと、公営住宅に住めるよう県と掛け合い、職業安定所に足を運んで障害者の希望と能力に合った職を探した。

 89年にセンターへ。障害者雇用促進法の改正など法整備も進み、以前よりも障害者の就労状況は改善されつつあるという。しかし、一方で職場でいじめを受けたり、「できない」ことをとがめられ続け、離職したり心を病む例も後を絶たない。「差別の裏には健常者側のいびつなものの見方がある。それを変えるには、障害者の社会参加をもっと進める必要がある」と話す。

 センターは04年、介助犬、聴導犬の相談・認定事業の指定法人になった。車椅子で暮らす宝塚市の木村佳友さん(50)のパートナー、エルモはセンターの介助犬認定第一号で、その際、認定審査委員長を務めた。「障害者は、人にものを頼むことにとても気兼ねします。その点、介助犬だから出来ることもある。精神的な支えとしても役割は大きい」。介助犬と出会って積極的にリハビリを始めた人もおり、介助犬に障害者自立の可能性を感じている。

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 ◇第19回障害者週間記念事業・第12回身体障害者補助犬シンポジウム
 28日(日)午前10時~午後4時、宝塚市山本南2の市立東公民館(阪急宝塚線山本駅から南へ徒歩7分)。午前の部は、障害者によるギターや和太鼓の演奏など。午後は1時半からの介助犬デモンストレーションに続いて、補助犬シンポジウムや福田正人さんのミニコンサートなど。各団体の展示やバザーもある。入場無料。問い合わせは、市障害福祉課(0797・77・2077)。

毎日新聞 2010年11月25日 地方版

聴覚障害偽装事件 仲介役が「前田先生と香田社労士はツーカーだった」と証

2010年11月26日 00時52分16秒 | 障害者の自立
証人が被告から教授された聴覚検査の不正方法に言及


 多数の「患者」が聴覚障害を装った障害年金詐欺事件で、詐欺と虚偽診断書作成・同行使の罪に問われた耳鼻咽喉科医・前田幸(よしあき)被告(75)の第3回公判が、25日午前10時から札幌地裁(園原敏彦裁判長)で開かれた。

 起訴状などによると、前田被告は、詐欺罪などで公判中の社会保険労務士・香田清被告(69)らと共謀し、2002年12月~07年7月までに虚偽の診断書を作成、「患者」に障害者手帳を不正に取得させて障害年金や福祉サービスなど計1億6800万円を騙し取らせた疑い。

 前田被告は、初公判の罪状認否で起訴事実を否認している。

 25日の公判は、前田被告や香田被告らと共謀した詐欺などの罪で札幌地裁から実刑判決を言い渡され、服役中の米田文雄、近藤順一両受刑者に対する証人尋問を行った。

 2人の証人は、1999年5月に前田被告が営んでいた「札幌駅前耳鼻咽喉科」を受診し、オージオメータ(聴力検査システム)を使った聴力検査で不正なボタン操作をし、前田被告から聴覚障害で最も重度である2級に相当する診断を受けた。その後、仲介役として多数の「患者」を前田被告の病院に連れて行き、聴力検査で不正な検査結果の出し方を教えた。

 以下、米田証人に対する主な尋問を記載する。

 検察官 あなたは誰から(不正な検査結果が出る)聴力検査のコツを教えてもらいましたか。

 米田証人(以下、米田) 近藤さんです。「検査では徐々に音が大きくなり、一番大きい音が出た後に一度音が消える。すぐにまた同じ大きさの音が出るのでその時に押せ」と教えられました。

 検察官 あなたは実際にその方法を使ったんですか。

 米田 はい。

 検察官 検査結果はどうでしたか。

 米田 前田先生から「(聴覚障害2級の)診断書を出せる」と言われました。

 検察官 あなたや近藤さんに対して、香田社労士が「ほかの(障害者手帳の取得を希望する)人も連れて来なさい」と言いましたか。

 米田 はい。

 検察官 あなたは実際に(希望者)を連れていきましたか。

 米田 はい。

 検察官 何人くらい連れていったんですか。

 米田 正確には憶えていませんが、30~50人くらいだったと思います。その中に耳が聞こえない人はいません。

 検察官 あなたが診察の際、香田社労士が診察室などに入ってきたことがありましたか。

 米田 聴力検査室に何回かいたことがあります。香田社労士はオージオメータの数値などを見ていました。病院内では一般患者が通れない裏の通路にもよく使っていました。

 検察官 あなたはそれを見てどう思いましたか。

 米田 前田先生と香田社労士はツーカーだと思いました

 検察官 耳が聞こえない人がいないことを前田被告は知っていたと思いますか。

 米田 当然、知っていたと思います。香田社労士も暗黙の了解でわかっていたと思います。

 検察官 あなたはどうしてそう思ったのですか。

 米田 近藤さんが主催して、前田先生と私を含めた不正受給者で山菜採りや会食をしたことがあります。その時に前田先生は参加した人と普通に会話していたので、完全に(耳が聞こえることを)わかっていると思いました。

 検察官 不正について前田被告が外部に漏れることを恐れているようなことはありましたか。

 米田 一度、前田先生が香田社労士を一喝したことがあります。(事件が)発覚する少し前だと思いますが、私と香田社労士が前田先生の病院に患者を紹介した時、私たちが(病院の外の)エレベーターホールで雑談いると、前田先生が来て、香田社労士に「私の所に来れば(障害者)手帳をもらえると言ってきた患者がいる。そういう事は徹底してもらわないと困る」と言っていました。

 弁護人 あなたが近藤さんに聴力検査のコツを教えてもらったのはいつですか。

 米田 前田先生の病院に行って、2人で検査室の前の椅子に座っているときに教えてもらいました。

 弁護人 あなたは前田被告はどういうお医者さんだと思いますか。

 米田 あまり中身はわかりませんが、私自身は親切にしていただきました。(不正受給者の)仲間の中では、「看護師を怒っていた」とか「ワンマンではないか」という話が出たこともありました。

 弁護人 あなたはいつまで(前田被告らと不正受給者の)仲介をやっていたんですか。

 米田 (2007年12月に)発覚してからすぐにやめました。その頃に香田社労士から「もうだめになるから(障害者手帳を)欲しい人がいたら早く連れて来なさい」と言われました。

 続いて午後からの公判は、近藤証人の尋問が行われた。以下、主な尋問を記載する。

 検察官 あなたが初めて前田被告の病院に行ったのは96年の終わりか97年の初め頃ですか。

 近藤証人(以下、近藤) はい。そうだと思います。

 検察官 その時、あなたはオージオメータによる聴力検査を受けましたか。

 近藤 受けました。

 検察官 前田被告の病院に通院する度にオージオメータによる聴力検査をやっていたんですか。

 近藤 私は2週間に1回のペースで通院していましたが、聴力検査は月1回だったと思います。

 検察官 いつ頃、聴覚障害2級に該当する検査結果が出たんですか。

 近藤 障害者手帳が99年6月に交付されたので、その1カ月くらい前だと思います。

 検察官 聴覚障害2級に該当する検査結果が出た時、あなたは前田被告の診察は受けましたか。

 近藤 (聴力検査の前に)受けました。

 検察官 前田被告にどんなことを言われましたか。

 近藤 「よく頑張って通ってきたね。精勤ものだね」と言われました。

 検察官 そのほかに前田被告から言われたことはありますか。

 近藤 「オージオメータのやり方を教えてやる」と言われました。

 検察官 やり方とはどんなことですか。

 近藤 前田先生に「オージオメータは一番高い(大きい)音が出た後に止まって、また音がするので、その時に押しなさい」と教えてもらいました。
 
 検察官 前田被告から不正のやり方以外には何か言われましたか。

 近藤 (不正のやり方は)私にだけ教えるので、「他言してはだめだ」と言われました。

 検察官 前田被告から不正の方法を教わったのは間違いないですか。

 近藤 間違いないです。私自身は、聴力検査でどこが大きい音かがわからないので(教えてもらわないと)難しかったと思います。

 検察官 診察を離れて前田被告と関わることはありましたか。

 近藤 前田先生が山歩きが好きということなので、(前田被告に聴覚障害2級の診断を受けた人たちと)一緒に山菜採りや登山に行きました。

 検察官 前田被告は登山の時に、参加者と話していましたか。

 近藤 普段通りという感じで会話をしていました。

 弁護人 あなたが前田被告の病院に通うようになったきっかけは何ですか。

 近藤 社労士の香田さんに紹介されたのがきっかけです。

 弁護人 あなたは香田さんから2級の障害者手帳の取り方を教えてもらおうと思ったんですか。

 近藤 違います。

 弁護人 香田さんからあなたに障害者手帳のことを話してきた。

 近藤 違います。

 弁護人 あなたの検察官調書には「(障害者手帳の取得方法は)香田さんから聞いたとことだ」と書いてありますが。

 近藤 それは違います。調書に判を押したのは事実ですが、言った記憶がありません。

 弁護人 この事件では、あなた自身も裁判を受けたがあなたの認識では前田被告と香田さんのどっちが悪いと思いますか。

 近藤 私にはわかりません。

 右陪席裁判官 本件で前田被告は、社労士の香田さんやあなたがつくった不正受給のネットワークに利用されたと主張していますが、それについてあなた自身はどう思っていますか。

 近藤 それは前田先生の考え方だと思うが、それでは通らないと思います。診断書をつくるのは前田先生で、前田先生は(私たちが)普通に話ができるのもわかっていたわけですから。

 次回公判は12月27日に開かれる。

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