「一人じゃないよ さあ手をつないで行こう」――。目がほとんど見えない娘を持つ太田市東長岡町、町田有規(ゆき)さん(35)が、そんな応援歌をミニコンサートなどで歌っている。曲はCDになり、大空の下、障害者も健常者も一緒に歩いていけるように、との思いが込められている。
町田さんは3児の母。次女の天音(てん)ちゃん(6)は妊娠7カ月足らずの早産で生まれ、命さえ危ぶまれた。未熟児網膜症を発症、重度の視覚障害となった。左目はまったく見えず、右目はかろうじて明るさと色彩を感じるだけ。
今春、天音ちゃんは太田市内の保育園を卒園し、前橋市にある県立盲学校に入学した。町田さんは時に両親の力も借り、毎日、乗用車で自宅と学校を2往復している。
つらい経験もした。天音ちゃんと一緒に外出しただけで、「目の見えない子を外で歩かせるなんて」と、見ず知らずの人から非難されたことがあったという。
若いころバンドで歌っていた経験を生かし、思いを歌にすることにした。友人たちが演奏やミキシングを引き受け、10月に2曲がCD化された。
「この空の下で」は、どんな人の上にも広がる空は、すべての人に対して平等、との思いを込めた。
「MATHER’S Story」は、「マザー」のつづりが「O」でなく「A」なのは、すべての母親は「A」クラスとの思いから。
この曲には天音ちゃんが生まれた年の春の思い出が織り込まれている。4月に生まれるはずだった天音ちゃんは1月に生まれ、一緒に見たかったサクラが満開になっても保育器から出られなかった。
《桜咲く春の日この道を 君を抱いて歩く夢を見た》《寒い冬の日産まれた君の 小さな小さなその体で 生きる力山程の奇跡》
病院の周りのサクラがあまりにきれいで、町田さんはサクラの花びらを滅菌してもらい、保育器のなかの天音ちゃんの手にそっと握らせた。天音ちゃんは泣きやみ、喜んだように見えた。
11月以降、盲学校の文化祭や、太田市内の保育園や児童館でミニコンサートを開き、歌を披露している。
CDのタイトル画は、天音ちゃんがクレヨンで描いた色鮮やかなひまわりだ。わずかな色彩の変化と手触りを頼りに、一生懸命に描いた。花びらや葉脈まで丁寧に描き込まれている。
「障害のある子どもと家族の置かれた厳しい状況を知ってもらい、理解を深めてほしい。この歌がそのきっかけになれば」と町田さん。
CDは、1枚200円以上の募金で配布している。連絡はメールで町田さん(yukimaable@rinkintan.com)へ。
朝日新聞
町田さんは3児の母。次女の天音(てん)ちゃん(6)は妊娠7カ月足らずの早産で生まれ、命さえ危ぶまれた。未熟児網膜症を発症、重度の視覚障害となった。左目はまったく見えず、右目はかろうじて明るさと色彩を感じるだけ。
今春、天音ちゃんは太田市内の保育園を卒園し、前橋市にある県立盲学校に入学した。町田さんは時に両親の力も借り、毎日、乗用車で自宅と学校を2往復している。
つらい経験もした。天音ちゃんと一緒に外出しただけで、「目の見えない子を外で歩かせるなんて」と、見ず知らずの人から非難されたことがあったという。
若いころバンドで歌っていた経験を生かし、思いを歌にすることにした。友人たちが演奏やミキシングを引き受け、10月に2曲がCD化された。
「この空の下で」は、どんな人の上にも広がる空は、すべての人に対して平等、との思いを込めた。
「MATHER’S Story」は、「マザー」のつづりが「O」でなく「A」なのは、すべての母親は「A」クラスとの思いから。
この曲には天音ちゃんが生まれた年の春の思い出が織り込まれている。4月に生まれるはずだった天音ちゃんは1月に生まれ、一緒に見たかったサクラが満開になっても保育器から出られなかった。
《桜咲く春の日この道を 君を抱いて歩く夢を見た》《寒い冬の日産まれた君の 小さな小さなその体で 生きる力山程の奇跡》
病院の周りのサクラがあまりにきれいで、町田さんはサクラの花びらを滅菌してもらい、保育器のなかの天音ちゃんの手にそっと握らせた。天音ちゃんは泣きやみ、喜んだように見えた。
11月以降、盲学校の文化祭や、太田市内の保育園や児童館でミニコンサートを開き、歌を披露している。
CDのタイトル画は、天音ちゃんがクレヨンで描いた色鮮やかなひまわりだ。わずかな色彩の変化と手触りを頼りに、一生懸命に描いた。花びらや葉脈まで丁寧に描き込まれている。
「障害のある子どもと家族の置かれた厳しい状況を知ってもらい、理解を深めてほしい。この歌がそのきっかけになれば」と町田さん。
CDは、1枚200円以上の募金で配布している。連絡はメールで町田さん(yukimaable@rinkintan.com)へ。
朝日新聞