「来年からは参加者が減るだろうな」。今月十七日、冬休み前恒例のスポーツ大会を終え、静けさを取り戻した塩原視力障害センター(那須塩原市塩原)の館内で「センターの存続を求める会」会長の生田目(なばため)和美さん(34)は少し寂しげにつぶやいた。
センターは二〇一二年度末に埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターへ統廃合される方針だ。来春から高等課程は廃止、専門課程は新規募集を取りやめる。高等課程の職員は去り、現在、三十三人いる生徒も生田目さんらの卒業で十人以上減る。求める会は募集継続を訴えるが、センターを所管する厚生労働省に応ずる気配はない。
統廃合の方針は「国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会」が、〇九年三月に打ち出した。検討会の報告書は、事務事業の効率化をその意義にうたう。しかし、生田目さんたちには「効率化を優先した地方の障害者の切り捨て」に映る。
センターと同じ国立の施設は函館、神戸など全国に五カ所だけ。民間施設は北関東以北には、ほとんどない。生田目さんは「家族を残して遠い施設へ行くのは難しい。このままでは、利用できる人まで利用できなくなる」と危惧する。
求める会は先月、センターの必要性を訴えるため利用者らの手記をまとめた。「悲しみを共有できる仲間との出会いが力になった」。文中には、外出が怖くなって引きこもった体験とともに、センターでの仲間との出会いや社会復帰できたことへの感謝の言葉があふれる。
求める会は署名活動や、国会議員への陳情など存続要請を続けている。最近は署名活動を見た人からメールが来るなど、地道な訴えに理解が広がる手応えが出てきた。
来年二月にある鍼灸(しんきゅう)マッサージ師の国家試験の受験勉強をしながら活動を続ける生田目さんは「忙しいけど大変じゃない」と前を向く。「目が見えなくなって『この先どうしたら』と苦悩した日々に比べれば、今は励まし合える仲間がいるから」
東京新聞
センターは二〇一二年度末に埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターへ統廃合される方針だ。来春から高等課程は廃止、専門課程は新規募集を取りやめる。高等課程の職員は去り、現在、三十三人いる生徒も生田目さんらの卒業で十人以上減る。求める会は募集継続を訴えるが、センターを所管する厚生労働省に応ずる気配はない。
統廃合の方針は「国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会」が、〇九年三月に打ち出した。検討会の報告書は、事務事業の効率化をその意義にうたう。しかし、生田目さんたちには「効率化を優先した地方の障害者の切り捨て」に映る。
センターと同じ国立の施設は函館、神戸など全国に五カ所だけ。民間施設は北関東以北には、ほとんどない。生田目さんは「家族を残して遠い施設へ行くのは難しい。このままでは、利用できる人まで利用できなくなる」と危惧する。
求める会は先月、センターの必要性を訴えるため利用者らの手記をまとめた。「悲しみを共有できる仲間との出会いが力になった」。文中には、外出が怖くなって引きこもった体験とともに、センターでの仲間との出会いや社会復帰できたことへの感謝の言葉があふれる。
求める会は署名活動や、国会議員への陳情など存続要請を続けている。最近は署名活動を見た人からメールが来るなど、地道な訴えに理解が広がる手応えが出てきた。
来年二月にある鍼灸(しんきゅう)マッサージ師の国家試験の受験勉強をしながら活動を続ける生田目さんは「忙しいけど大変じゃない」と前を向く。「目が見えなくなって『この先どうしたら』と苦悩した日々に比べれば、今は励まし合える仲間がいるから」
東京新聞