シルバー人材センターなどから請け負った業務でしたけがに健康保険、労災保険のどちらも適用されない「制度の谷間」問題で、厚生労働省のプロジェクトチーム(PT)は29日、こうしたケースに健保を適用する方針を決めた。過去にさかのぼって適用するかなど詳細を厚労相の諮問機関、社会保障審議会医療保険部会で検討し、年内に結論を出す。
サラリーマンの健保は業務外のけがや病気が対象で、仕事上のけがには労災保険が適用される。しかし、勤め人に扶養される人には労災保険がなく、業務中のけがに使える保険がない。西村智奈美副厚労相は同日のPT終了後、「国民皆保険制度に隙間(すきま)があるのは好ましくない」と指摘し、健保の「業務外」の規定を廃止して労災対象外の人には健保を使えるように改める方針を明らかにした。
この問題を巡っては、子どもの扶養を受ける奈良県の高齢者が09年、シルバー人材センターから請け負った木の剪定(せんてい)作業中に足の指を骨折しながら保険を使えず、治療費の全額自己負担を求められる事態が起きた。同様の問題は学生のインターンシップや専業主婦の内職、障害者10+件の福祉作業所でのけがなどでも起こりえることから厚労省が改善策を検討していた。
同省は新たに健保適用となる対象者数を把握していないが、実際には業務との関係が分からないまま健保を適用しているケースも多いとみられ、制度変更後も健保の大幅な負担増にはならないとみている。なお、市町村の国民健康保険(国保)や75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度は業務中のけがにも使える。
毎日新聞 2012年10月29日 21時48分(最終更新 10月29日 21時56分)
サラリーマンの健保は業務外のけがや病気が対象で、仕事上のけがには労災保険が適用される。しかし、勤め人に扶養される人には労災保険がなく、業務中のけがに使える保険がない。西村智奈美副厚労相は同日のPT終了後、「国民皆保険制度に隙間(すきま)があるのは好ましくない」と指摘し、健保の「業務外」の規定を廃止して労災対象外の人には健保を使えるように改める方針を明らかにした。
この問題を巡っては、子どもの扶養を受ける奈良県の高齢者が09年、シルバー人材センターから請け負った木の剪定(せんてい)作業中に足の指を骨折しながら保険を使えず、治療費の全額自己負担を求められる事態が起きた。同様の問題は学生のインターンシップや専業主婦の内職、障害者10+件の福祉作業所でのけがなどでも起こりえることから厚労省が改善策を検討していた。
同省は新たに健保適用となる対象者数を把握していないが、実際には業務との関係が分からないまま健保を適用しているケースも多いとみられ、制度変更後も健保の大幅な負担増にはならないとみている。なお、市町村の国民健康保険(国保)や75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度は業務中のけがにも使える。
毎日新聞 2012年10月29日 21時48分(最終更新 10月29日 21時56分)