知的障害者施設などを運営する社会福祉法人「カナンの園」(岩手県一戸町)が昨年、設立40周年を迎えた。若いキリスト教徒が始めた取り組みは地域に根を広げ、障害者に欠かせない存在となっている。23日に盛岡市で記念式典を開く。
法人は1972年、知的障害者が外出を許されず、自宅に閉じ込められている現状を知ったキリスト教徒の岩手大生らが中心となり設立。一戸町奥中山地区に翌年、知的障害のある児童向け施設を開いた。
97年に開設したパン工場「カナン牧場」(一戸町)は法人事業の柱の一つ。現在、32人が無添加で保存料を使わないパンや地元の農産物を使ったジャムなどを作り、年間1億円超の売り上げがある。
従業員の三上美幸さん(40)は民間会社に一度勤めたが、人間関係などに悩み、工場開設時に転職した。「仲間がいっぱいいるから楽しい」と明るい表情で語る。
法人は一戸町と盛岡市で、児童向け入所施設と特別支援学校、生活介護や就労継続事業所など8施設を運営。400~500人が利用している。
町健康福祉課によると、奥中山地区の人口約3000人のうち、知的障害者は約1割を占めるとみられる。法人は毎秋、「カナン祭」を開き、地域との交流を図ってきた。
元理事長が2002年に施設利用者の障害者年金を不正に流用する事件もあったが、これを機に運営の透明性を高め、信頼回復に努めてきたという。
佐藤真名事務局長(54)は「ここでは障害者が一住民として暮らすことが当たり前となった。障害の有無に関係なく、一人一人ができることをして、一緒に生きていく社会ができればいい」と話す。
記念式典は23日午後1時半から、盛岡市の岩手教育会館で開く。講演会もあり、社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)の田島光浩常務理事が話す。いずれも入場無料。定員100人で、事前申し込み不要。連絡先は実行委事務局0195(35)2314。
パンを使った加工品づくりに取り組む従業員
河北新報-2013年02月22日金曜日
法人は1972年、知的障害者が外出を許されず、自宅に閉じ込められている現状を知ったキリスト教徒の岩手大生らが中心となり設立。一戸町奥中山地区に翌年、知的障害のある児童向け施設を開いた。
97年に開設したパン工場「カナン牧場」(一戸町)は法人事業の柱の一つ。現在、32人が無添加で保存料を使わないパンや地元の農産物を使ったジャムなどを作り、年間1億円超の売り上げがある。
従業員の三上美幸さん(40)は民間会社に一度勤めたが、人間関係などに悩み、工場開設時に転職した。「仲間がいっぱいいるから楽しい」と明るい表情で語る。
法人は一戸町と盛岡市で、児童向け入所施設と特別支援学校、生活介護や就労継続事業所など8施設を運営。400~500人が利用している。
町健康福祉課によると、奥中山地区の人口約3000人のうち、知的障害者は約1割を占めるとみられる。法人は毎秋、「カナン祭」を開き、地域との交流を図ってきた。
元理事長が2002年に施設利用者の障害者年金を不正に流用する事件もあったが、これを機に運営の透明性を高め、信頼回復に努めてきたという。
佐藤真名事務局長(54)は「ここでは障害者が一住民として暮らすことが当たり前となった。障害の有無に関係なく、一人一人ができることをして、一緒に生きていく社会ができればいい」と話す。
記念式典は23日午後1時半から、盛岡市の岩手教育会館で開く。講演会もあり、社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)の田島光浩常務理事が話す。いずれも入場無料。定員100人で、事前申し込み不要。連絡先は実行委事務局0195(35)2314。
パンを使った加工品づくりに取り組む従業員
河北新報-2013年02月22日金曜日