ゴエモンのつぶやき

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災害弱者の名簿 登録7割に向上

2014年04月16日 01時44分36秒 | 障害者の自立
 災害時に支援が必要な高齢者や障害者について、本人が拒否の意思表示をしなければ名簿に登録し、自治会や町内会と共有する。そんな全国でも珍しい横浜市の新しい方式で、3月までに集計が終わった30の自治会・町内会では、非掲載を希望した人が3割にとどまっている。掲載希望者を募る従来の方式と比べ、登録率が上がったという。

 新方式は「情報共有方式」と呼ばれ、市が昨年2月の条例改正で導入した。3月までに市内6区で31の自治会・町内会が実施を決め、個人情報の管理や運用を定めた協定を区役所との間で取り交わした。

 市によると、5区の30会分について集計。一人暮らしで介護保険を使っている高齢者や、身体障害1~3級の障害者などの基準にあてはまる2725人に、郵便で名簿登録の意向を確認。30%にあたる819人から非掲載の意思表示があった。

 区別の非掲載希望率は、金沢34%▽港南27%▽栄21%▽西17%▽保土ケ谷12%だった。施設入居者にも郵便を送ったかなどで各区の母数が異なっている可能性があり、さらに傾向を調べることにしている。

害時に支援が必要な高齢者や障害者を巡っては、内閣府の検討会が2005年にガイドラインを作成。名簿を日頃から自治会などと共有し、災害時は住民主体で安否確認や避難の支援にあたることが求められた。ただ個人情報を含むため、名簿は希望者のみを掲載することが前提とされた。

 市によると、掲載希望の意思表示があった人だけを登録する方式では、登録率は3~5割にとどまっていた。このため、登録率を高める狙いで市は条例を改正。非掲載希望の連絡がなかった場合は同意したとみなすことにした。

 災害の発生直後は行政が十分機能せず、地域住民の力が重要になる。一方、地域で支援すべき対象者が増えることへの不安もあり、新方式の採用を決めたのは、市内に約2800ある自治会・町内会のごく一部にとどまっている。

 市の黒岩清隆・担当課長は「支援を必要とする人の把握率が高まり、新方式の効果はあった。地域の負担が増える面もあり、住民の理解と協力を得ながら対象地域を増やしていきたい」と話す。

■閲覧制限、情報を共有

 「あまり登録者が多いと支援が大変だと思っていたが、意外に少なかった。できるだけ早くお会いして、状況を把握したい」。金沢区の金沢町町内会の鈴木正徳会長(66)は名簿を受け取り、そう語った。

 同会はこれまでも70歳以上の高齢者の名簿を作り、災害時の安否確認に備えてきた。その数は339人。だが障害者は把握しておらず、議論の末に新方式の導入を決めた。

 3月末に区役所から受け取った名簿の登録者数は67人。新たに把握したのは、障害者を中心に10人程度だったという。

 名簿は鈴木会長と民生委員ら役員6人だけが見られるようにし、鍵のかかる棚で管理する。月内にもすべての人に会い、どんな支援が必要か確認するつもりだ。

 地区は狭い路地に木造住宅が立ち並び、災害時は家屋倒壊や火災の延焼が懸念される。鈴木会長は「70歳以上を集めた従来の名簿には元気な人も含まれる。災害時は、新しい名簿に載った人たちの安否を最初に確認することになると思う」と話す。

 金沢区役所で名簿作成を担当した大谷地久美子係長によると、新たな名簿をもとに障害者宅を自治会長が訪問すると、「ここに障害者が住んでいると知って欲しかったが、きっかけがなかった」と感謝された例もあったという。「災害時だけでなく日頃から、障害者が地域の人とつながりを持つきっかけにもなれば」と話している。

朝日新聞 2014年04月15日