罪に問われた障害者や認知症高齢者らの特性に配慮した取り調べや裁判、処遇の在り方を定めた新法「触法障害者・高齢者支援法」の制定を、累犯障害者の更生支援に取り組む社会福祉法人南高愛隣会(雲仙市)の前理事長で全国地域生活定着支援センター協議会の田島良昭代表理事が国に提言する。一貫した福祉的な支援を通じて更生と社会復帰を促し、再犯率の低下を図る。
東京で13日に開かれた司法と福祉の連携を探るシンポジウムで明らかにした。法務省や厚労省に14日に提言書を出す。今後、関係省庁や日弁連、有識者による専門委員会を発足させ、障害者・高齢者・罪の範囲を議論するとともに、関係法の見直しを検討。3年後の立法化を目指す。
提言書や同協議会によると、刑務所入所者の高齢化や認知症は年々増えている。新法は未成年の特性に配慮して刑法から切り離している少年法の仕組みを参考にする。
具体的には、冤罪(えんざい)を防ぐため警察・検察の取り調べをすべて録音・録画(可視化)。裁判では、通訳的な役割を果たす助言・立会人や特別弁護人が付き添い、福祉的な鑑定や環境調整のための相談支援も積極的に活用する。
刑務所では、障害判定や出所に向けた特別調整のほか、受け皿とのマッチングのための外部実習、早期の仮釈放、疾病治療のための刑の執行停止も可能にする。保護観察処分など施設に収容されない人は、福祉サービスの提供を受けながら社会での更生を目指す。捜査資料のうち福祉的な資料は引き継ぐようにする。
同会は10年前に累犯障害者の更生支援を始め、厚労省の研究事業で刑務所を出た後に福祉につなぐ「出口支援」や検察捜査や裁判段階で福祉的なサービスにつなぐ「入り口支援」に取り組んできた。田島氏は「入り口から出口、そして社会の中までトータルで支援できる法律を、民間も支援するので政府の責任でつくってほしい」と呼び掛けている。
(2014年7月14日更新)長崎新聞
東京で13日に開かれた司法と福祉の連携を探るシンポジウムで明らかにした。法務省や厚労省に14日に提言書を出す。今後、関係省庁や日弁連、有識者による専門委員会を発足させ、障害者・高齢者・罪の範囲を議論するとともに、関係法の見直しを検討。3年後の立法化を目指す。
提言書や同協議会によると、刑務所入所者の高齢化や認知症は年々増えている。新法は未成年の特性に配慮して刑法から切り離している少年法の仕組みを参考にする。
具体的には、冤罪(えんざい)を防ぐため警察・検察の取り調べをすべて録音・録画(可視化)。裁判では、通訳的な役割を果たす助言・立会人や特別弁護人が付き添い、福祉的な鑑定や環境調整のための相談支援も積極的に活用する。
刑務所では、障害判定や出所に向けた特別調整のほか、受け皿とのマッチングのための外部実習、早期の仮釈放、疾病治療のための刑の執行停止も可能にする。保護観察処分など施設に収容されない人は、福祉サービスの提供を受けながら社会での更生を目指す。捜査資料のうち福祉的な資料は引き継ぐようにする。
同会は10年前に累犯障害者の更生支援を始め、厚労省の研究事業で刑務所を出た後に福祉につなぐ「出口支援」や検察捜査や裁判段階で福祉的なサービスにつなぐ「入り口支援」に取り組んできた。田島氏は「入り口から出口、そして社会の中までトータルで支援できる法律を、民間も支援するので政府の責任でつくってほしい」と呼び掛けている。
(2014年7月14日更新)長崎新聞